韓国のハンファグループが運営する百貨店「ハンファギャラリア」は、デパートのビルの外装に設置されたメディアアートを利用し、市民に大気汚染への警告を行っている。これは、環境にできるだけ負担をかけないサステナブルな消費文化を促進するキャンペーン “Right! Galleria”の一環だ。
ソウルのギャラリア・ラグジュアリーホールの外壁に設置された照明は、空気中に舞う超微細粒子による汚染度が「高い」レベルにある場合、3回赤の点滅信号を送ってから、赤を基調とするビデオを映し出す。また、汚染レベルが「低い」日には、緑色で構成されたものに切り替わる。
人口が集中し、経済活動も盛んなアジア都市部における大気の汚染は深刻だ。大気中の微粒子や有害成分が、環境はもちろん、人々の健康にも悪影響を与えている。
たとえば、化石燃料を燃やすことで排出される二酸化硫黄は、呼吸器症状を引き起こし、鉛及びその化合物は貧血や神経症状の原因となるといわれている。世界保健機関(WHO)は、大気汚染が原因で年間約700万人が亡くなっているとの数値を示している。
ハンファギャラリアは、ソウル市民の行動を変えるために、まず普段どれだけ汚染された空気を吸って生活しているかを知ってもらうことを目指した。そのため、日々の汚染レベルも公表していくという。汚染レベルが81μg/ m3以上で、建物の外観が赤く染まった日には、デパート内で買い物をした人にKF94認定(0.4μ以下の超微細粒子を94%まで遮断すると認められた製品に与えられた認証)のマスクをプレゼントするそうだ。
普段、自分の行動がどれだけ環境に影響を与えているかを考える人は多くない。ハンファギャラリアは、美しい色のアートで残酷な現実を映し出し、市民の環境意識を高めようとしている。
【参照サイト】Galleria Department Store Uses Media Art to Warn Passersby of Air Pollution