バービー人形といえば、すらりとした足に、白い肌でブロンドヘア。そんな従来のイメージを覆し、バービーは今や「4種類の体型、7種類の肌の色、22種類の目の色、そして24種類の髪型を自由に組み合わせられる」ほど多様性に配慮した人形に進化している(参考:「あなたは、何にでもなれる。」世界を変えた女性に扮する、バービー人形からのメッセージ)。
バービー人形を販売する米国マテル社はこのほど、世界初のジェンダーフリーな人形シリーズ「Creatable World」を発売した。今回のシリーズの特徴は、顔や髪形、体型、ファッションすべてにおいて性別のイメージにとらわれないことだ。
たとえば、髪型はショートヘアが基本になっており、ウイッグをつければロングヘアにもできる。長すぎないまつ毛、ほどほどの厚さの唇、広すぎないあご、張りすぎない肩、フラットな胸。男の子にも女の子にも見える。いや、もはやそうした性別を決めてみることがナンセンスな気がしてくる。
服も、スカートもあればユニセックスなデザインのパンツやシャツ、ジャケットもあり、性別にとらわれず自由に組み合わせることができる。ファッションの種類は100以上だ。
開発にあたっては、米国内の7つの州、250世帯で人形の原型をテストした。トランスジェンダーやノンバイナリー、ジェンダー・フリュイド(※1)の子どもたちの意見を聞いた結果、多様な性を持つ子どもたちは「自分たちと同じような人をメディアでみることは滅多になく、ましてやおもちゃに反映されていることはまずない」と感じていることがわかったという。
タイムズ紙の取材に対し、マテル社の消費者インサイト部部長のモニカ・ドレジャー氏は「多様な性を持つ子どものいる夫婦の中には、子どもにどのプレゼントを用意しても、その子どもに合ったものにならないことを恐れている人もいました」と語った。
多様な性を持つ子どもたちと、親のジレンマ。そうした壁を今回のシリーズは壊していってくれるのかもしれない。小さな頃から、多様な性、多様な容姿に接することで、大人になってからもそれが「当たり前」となり、多様性に寛容になれる。今回のシリーズが目指しているのは、そこではないだろうか。
今のところ日本での発売は未定だそうだが、多様な性を認め合う社会をつくっていくためにも日本での発売を期待したい。
※1 トランスジェンダー(生物学的な性と心の性が一致しない人)、ノンバイナリー(性別を男女に限定しない人)、ジェンダー・フリュイド(性別が流動的な人)
【参照サイト】Making Doll Play More Inclusive
【参照サイト】A Doll For Everyone’: Meet Mattel’s Gender-Neutral Doll