情報の力で食品ロス削減。食堂のメニューを事前予約できる、フランス発のアプリ

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IDEAS FOR GOODではこれまで、食品ロスに取り組むアイデアを数多く紹介してきた。食材を安く買いたい消費者と売れ残り食材の対処に困っている食料品店をつなげるアプリや外出先からでも冷蔵庫の中身を教えてくれるスマートワイヤレスカメラ、廃棄食材を再利用してエネルギーやコスメなどを作る循環型の活用方など、その多くはテクノロジーの力によって可能になった「情報共有」を生かしたサービスである。

フランスのスタートアップが開発したアプリ「Meal Canteen」は、情報の力を生かし、これまでとは違った角度から食品ロス問題にアプローチしている。Meal Canteenは、食堂を利用するユーザーがメニューを事前予約しておくことで食料廃棄抑制に貢献できるアプリである。

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アプリ「Meal Canteen」

このアプリの特徴は大きく3つある。1つ目は、主なユーザーの対象が学生食堂や社員食堂などの「食堂」であることだ。食堂ではその特性上、ユーザーが食べたいメニューや皿をその場で選択するケースが多く、これまで情報共有を生かしたサービスの展開がしにくかった。

2つ目は、そのような環境の中で、Meal Canteenが事前予約を可能にした点である。ユーザーにとっては、事前に自分のメニューを予約することができ、食堂に遅く到着しても自分の料理が確保されているという点がメリットとなる。食堂側は、ユーザーが予約した情報に基づき、実際に買い手がいる量だけを調理する。結果、無駄な食品ロスが発生しない。

3つ目は、ユーザー側・食堂側双方が有益な情報を得られる点である。アプリには、原料の原産地・調理方法・栄養成分・アレルギー物質などの情報を掲載できる機能がある。ユーザーはこれらの情報を参考に、自分自身が完食できるメニューのみを選択することで食べ残しが減る。

さらに、満足度評価を5段階で登録し、メニューに対するコメントもできる。昼の時間帯は忙しく、学生や社員からフィードバックをもらう余裕がない食堂がほとんどだが、アプリを通してメニュー改善につながる情報を得ることが可能になる。改善の余地のあるメニューを把握することで、食べ残しを減らすことにつながる。

Meal Canteenによると、2018年にサービスを開始して以来、現在1万人の登録者・15社とのパートナーシップを獲得している。Meal Canteenの創設者であるデニス・オリバー氏は、2020年に1億から5億ユーロの調達を行い、さらなるユーザの拡大やサービスの拡充を図るとしている。

食品ロス解決に取り組む多くのサービスに見られるように、Meal Canteenも例外なく「デジタル化」によって可能になった情報共有の仕組みを使ったサービスだ。今まで利用しにくかった食堂というシーンで、ユーザー側も食堂側もウィンウィンに問題を解決することができる。

フランスでは世界で初となる「食品廃棄禁止法」が2016年2月3日に制定されたこともあり、食品ロスに対する意識が高まっている。Meal Canteenはフランスの食品ロス対策の動きの一翼を担うだろう。今後の展開に注目したい。

【関連ページ】食品廃棄
【参照サイト】Meal Canteen

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