都市の洪水防止に。デンマーク発、雨水を自然循環させる歩道

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デンマークの首都コペンハーゲンに、都市の洪水防止を目的としたパイロット歩道50mが完成した。

近年、台風やハリケーンによる大規模洪水が世界中で頻繁に起きている。特に、都市での洪水被害は深刻だ。都市洪水の原因の1つは、雨水がアスファルトやコンクリート、石などで舗装された道路の下に浸透せず、短時間で降った大量の雨が一気に道路わきの側溝に流れ、排水しきれなくなることである。

この問題の対策となるのが、今回コペンハーゲンにつくられた歩道用舗装「CLIMATE TILE」だ。建築事務所THIRD NATUREが設計を行った。

CLIMATE TILEの仕組みは以下だ。舗装ブロック表面に開いた穴から雨水が下に浸透して、ブロックに付属する幅の広い側溝に流れる。また、道路脇の建物の屋根に降った雨も直接、ブロックに付属する側溝に流される。さらに、側溝の植栽側にも穴が開いており、側溝から植栽に雨水の一部が直接流れて、街の緑に潤いを与える。

デンマークの歩道

(c)THIRD NATURE

デンマークの歩道

(c)THIRD NATURE

このタイルのコンセプトは、「歩道が持つ可能性を引き出す。そして、水を価値ある資源にする」ということ。単純なプロセスで水を集め、流れるべき場所に自然循環させる。その効果は大きく、既存の排水システムに比べて30%多い雨水を処理できるそうだ。

THIRD NATURE社のパートナーであるフレミング・ラフン・トムセン氏は、「これまで、歩道はインフラにおいて過小評価されてきた。このタイルは、歩道が都市において大きな可能性を秘めているということを証明していくだろう。」と述べている。

コペンハーゲン市・気候変動対策センターのプロジェクトマネージャーであるヤン・ラスムセン氏は、「CLIMATE TILEは気候への順応と都市開発へのアプローチだ。このパイロット舗装が今後、都市の気候変動問題においてどのように機能していくか、市民の反応とあわせて調査していきたい。」と語っている。

都市において、歩道を大きな可能性を秘めた場所であると考え、水を自然循環させるパイロットプロジェクト。都市の洪水防止に寄与する歩道が、コペンハーゲンの緑をますます美しくしていく。

【参照サイト】INAUGURATION OF THE CLIMATE TILE
(※画像:THIRD NATUREより引用)

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