企業は事業を行うとき、様々なことに配慮する必要がある。働き手の福利厚生しかり、企業のCSR(社会的責任)もしかり。そんな2つをリンクさせたら、一体どのようなものが出来上がるだろうか。
ドイツの暖房・冷凍・産業システムのメーカーであるViessmannは、従業員のウェルビーイングと環境問題の両方にアプローチする取り組み「#ViMoveforClimate」を始めた。
その内容は、従業員一人がウォーキングやランニング、ピラティスなどの短時間の運動を行うたびに、1本の木が植えられるというもの。それぞれが専用のアプリ「ViMove」を使って自分の運動量を申告することで、気軽に森林の再生に取り組むことができる。
運動の内容は、水泳やヨガなど、身体への負担が比較的小さいものを含めた20種目から選択可能。これまでにおよそ5,000人が参加し、15万本の木が植えられた。同プロジェクトは、森林再生のエキスパートであるノルウェーのスタートアップCHOOOSEと協力して行われており、次の目標は30万本。ケニアやウガンダに植える予定だ。
IDEAS FOR GOODでは以前、学校を卒業するために植樹を義務付けるフィリピンの取り組み「環境のための卒業遺産法案(Graduation Legacy for the Environment Act)」を紹介した。こちらは環境問題と教育をつなげた取り組みで、「卒業」という体験と「木を植える」という体験をつなげることで、環境の大切さを頭だけでなく身を持って体感できる設計になっている。
今回のプロジェクトは、日々のちょっとした運動が自身の健康状態の向上だけでなく、地球環境の改善にもつながるもの。これまで別々に行われていた「ウェルビーイング」と「環境問題」への取り組みの二つを掛け合わせてできたものだ。このように、あるものとあるものを掛け合わせることで生まれる相乗効果の可能性は、まだまだ多く眠っているに違いない。
人はつい、自分の知識や常識の範囲内で考える傾向があるが、一見関係のなさそうなモノ同士をつなげてみるのも、一つの方法なのかもしれない。
【参照サイト】Viessmann
Edited by Tomoko Ito