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CSR(社会的責任)とは・意味

CSR(社会的責任)とは?

CSRは、“Corporate Social Responsibility”の頭文字で、日本語では「企業の社会的責任」と訳される。企業が環境や社会の課題を自社の経営、市民や投資家などのステークホルダーとのかかわりのなかに組み込むことを表す経営上のコンセプトで、社会全体に対しての責任を果たすべく、戦略を持ち自発的に行動を起こすことをいう。

経済、環境、社会のバランスを保つための取り組みと同時に、株主やステークホルダーの期待にも応えるという性質から、慈善活動やチャリティー活動とは区別されて使用される言葉である。

CSRの活動内容

CSR活動が取り組むテーマは、「環境」「人権」「経済」「慈善活動」の大きく4つのカテゴリに分類できる。

  • 環境:CO2の排出削減、自然エネルギーの使用、プラスチックの使用削減など
  • 人権:労働環境の改善、ジェンダー平等、人権の保護など
  • 経済:企業のオペレーションを向上させながら、同時に持続可能性も追求する活動など
  • 慈善活動:災害時の寄付などの支援、コミュニティへの貢献など

    CSR活動には、会社のコンプライアンスを遵守し、投資家への説明責任を果たすインベスター・リレーションズ (IR:企業が投資家に向けて経営状況や財務状況、業績動向に関する情報を発信する活動)も含まれるほか、企業が自社の強みを活かして地域コミュニティのためになる働きかけをする場合など、事業とは直接関連のない社会貢献活動を行うケースもある。

    CSRが生まれた背景

    企業活動がグローバル化し、バリューチェーンが複雑に広がり、資本主義市場の競争が激化した1990年代以降、企業が社会経済や地球環境に及ぼす負の影響が注目されるようになった。地球温暖化や生物多様性の損失に加えて、サプライチェーンの上流で起きる児童労働や強制労働、環境汚染、また汚職や不正、食品安全、会計偽装といったコンプライアンス上の問題も頻発。特に多国籍企業は、地球規模の課題に対して影響を与える存在となっていった。

    そうしたなか、欧米を中心としたグローバルなNGOが、多国籍企業に対する監視役として企業活動に対して圧力をかけるようになり、政策における「CSR」という考え方が欧州で登場するようになった。その後、「国連グローバル・コンパクト(2000年)」「リスボン戦略(2000 年)」「組織の社会責任ガイダンス規格 ISO26000(2010年)」を含む、様々な国際会議の場において、組織や企業の活動が与える影響が重視され、その責任の強化が言及されるようになった。

    2011年、CSRの定義は「企業が社会において及ぼす影響に対する責任」と改定され、経済産業省も「企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方」と定義している。

    また、現在は「GRI スタンダード」と言われる、企業がCSRに関する情報開示を行う際の指針として参照されているサステナビリティ報告ガイドライン(NGO Global Reporting Standard)は、組織がサステナビリティに及ぼす影響について報告することを求めている。これまで外部化していた社会的コストを、自主的・主体的に管理、低減することがCSRの対応の基本であり、今、企業には活動やその結果について説明責任を果たすことが求められている。

    日本の歴史とCSR

    日本では、高度経済成長期の終わり、企業が公害などの多くの社会問題を発生させた反省をきっかけに、CSRが改めて注目されるようになった。一方、日本では古くから「自らばかりが儲けるのではなく、自分の行った商売の結果、 社会もよくなるものでなければならない」という教えもある。

    現在の滋賀県の位置にあたる近江国の出身で、全国で活躍した近江商人は、利益は真摯に努力し責務を果たした結果の「おこぼれ」に過ぎないという戒めにより、利己主義に傾かないように自らを律していた。近江商人は、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という、いわゆる三方よしの精神を根底に持っていたことで知られ、物不足の際に、価格を吊り上げたり買い占めたりするようなことは行わなかった。その一方で、地域の公共事業には積極的に投資をしたとされる。

    江戸時代の思想家で、石門心学という倫理学を確立した石田梅岩(いしだ ばいがん)は、「実の商人は、先も立ち、我も立つことを思うなり」と、自身と共に相手のことにも配慮して事業を行う重要性を説き、現在でいうCSRを的確に言いあらわしている。実はCSRは、日本の歴史に深く根付いていたのだ。

    SDGsやESG、そしてCSRという言葉が一般的になった今、環境や社会に配慮した取り組みを企業が行うことはもはや「当たり前」となった。そんななか、社会をよくすることはもちろん、投資家や消費者からの評価や信頼など、企業イメージの向上を理由に、社会貢献に取り組む企業も少なくない。

    活動を実践すること自体が大切なことである一方、昔から日本に受け継がれてきた「商人の精神」としてのCSRに立ち返り、それを行う意義を改めて考えながら自社の取り組みについて考えてみてはどうだろう。それは、「グリーンウォッシュ」や「表面的」な取り組みで終始しないための、大切なプロセスではないだろうか。

    【関連記事】プラスチック削減に向けた、大手企業10社のCSR事例
    【参照サイト】UNIDO What is CSR?
    【参照サイト】一般財団法人 企業活力研究所 「SDGs 達成へ向けた企業が創出する『社会の価値』への期待」に関する調査研究報告書
    【参考文献】近江商人学入門―CSRの源流「三方よし」(淡海文庫)末永 国紀 著

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