ザ・リッツ・カールトンやウェスティンホテルなど、様々なホテルブランドを展開する米ホテルチェーン大手マリオット・インターナショナルの2019年の発表によると、同社ではシャンプーやバスジェルなどを入れるプラスチックの使い捨てミニボトルが、毎年約5億本も廃棄されていたという。これは約170万ポンド(77万キログラム)に相当するプラスチック量だ。
同社はこの状況を受け、2020年末までに大部分のホテルでミニボトルの使用を廃止し、大容量のポンプ式ボトルに切り替える計画を発表した。この取り組みにより、アメニティのプラスチック使用量を年間30%削減できるという。
米ニューヨーク州ではこういった環境に配慮した対応が、ホテルの規模の大小に関わらず必須となる日が近いかもしれない。ニューヨーク州議会は2021年4月、ホテルが液体石鹸などのパーソナルケア製品をプラスチック製ミニボトルに入れて提供することを禁止する法案を可決したのだ。ここで言うプラスチック製ミニボトルとは、容量が12オンス(約355ミリリットル)未満のリユースできない容器を指す。クオモ州知事の署名を経て法案が成立すれば、客室数50室以上のホテルでは2024年1月1日から、客室数50室未満のホテルでは2025年1月1日から施行される。
同法案はトッド・カミンスキー上院議員が2年前に、ニューヨーク市ホテル協会(Hotel Association of New York City)やニューヨーク州ホスピタリティ&ツーリズム協会(New York State Hospitality & Tourism Association)の支持を得て提出した。パンデミックの影響による、使い捨てプラスチックを削減する取り組みの後退が世界で懸念されていたが、ここで再び脱プラスチックに向けた取り組みが軌道に乗ったのかもしれない。
法案の支持者たちによると、ニューヨーク市内だけでも630以上のホテルに11万室以上の客室があり、法案が成立すれば、同市内で毎年廃棄される約2740万本ものプラスチックボトルを削減できるという。こうした取り組みが、使い捨て型のライフスタイルを見直していくための出発点になることを期待したい。
Edited by Erika Tomiyama