ごみを分別せずに捨ててしまった、レストランで料理を残してしまった……など、これまであなたは「地球に悪いことをした」と自分を責めた経験はないだろうか。地球環境の保全に逆らう判断・行動をしたときに抱く罪悪感を“エコギルト”と呼ぶ。時として人々に「環境問題を語る資格がない」と思わせ、問題への関心を奪ってしまうこともある。
スウェーデンの大手エネルギー会社Vattenfallは、気候変動に関するポジティブな報道に触れる機会が少ないと、人々の課題解決へ向けた行動が小さくなってしまうとの調査結果をウェブサイト上でまとめている。調査によると、「気候変動は現代の最も差し迫った地球規模の問題」と回答した人は全体の32%だったが、半年後には28%に微減したことが明らかになった。
また、国内外のメディアが扱う気候変動に関する報道は、ネガティブまたは事実に基づいた報道が79%であるのに対し、ポジティブな報道は21%にとどまるという。ネガティブなニュースはポジティブなニュースより印象に残りやすく、多くの人に不安や怒り、無力感を与えてしまうとする。
そこでVattenfallは、持続可能な未来への前向きなアクションだけを集めた「気候変動が心配で眠れない人のためのSpotifyプレイリスト」を制作し、配信を開始した。“希望”を発信することで、人々のモチベーションの維持につなげる狙いだ。
プレイリスト名は「Super Soothing Climate Progress Engineering Tracks」。問題提起ではなく、エネルギーや水力発電、電気自動車など、現在世界で行われている革新的な取り組みに焦点を当てている。
現状を正しく把握するためには、事実や、向き合いたくないネガティブな情報に触れることも欠かせない。ただ、無力感に包まれた人々が気候変動について諦めたり、考えることを避けてしまったりしては元も子もない。
だからこそ、Vattenfallはポジティブな発信を増やし、人々がバランスよく気候変動を考える必要性を訴える。ポジティブな報道に触れることは、モチベーションの維持だけでなく、人々の行動を後押しし、ひいては地球温暖化の抑止につながるからだ。
私たちが日常生活でできる行動は、地球規模で考えればごく小さい。しかし、その一手がなければ、実現が遠のくことを忘れてはいけない。もし、ネガティブな気持ちにさいなまれてしまったときは、歩みを止めてしまう前に、ポジティブな情報を意識的に集めてほしい。エコギルトとうまく付き合いながら、一つずつ確実に未来を積み上げていこう。
【参照サイト】Is the climate challenge keeping you awake too?
【参照サイト】The climate change conversation
Edited by Kimika