生分解性素材を使ったオーガニック花火、オランダに誕生

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浴衣を着て、花火のほうへと歩くときは、とてもわくわくする。空に大きな音が轟き、周りの人は高揚感に満ち、次々と打ち上がる花火を待ち続ける。

それは美しい光景だが、ふと花火の煙がもたらす空気の汚れや、燃えカスなどのごみが気になることもあるのではないだろうか。

オランダ・ロッテルダムに拠点を置く、ソーシャルデザインラボのStudio Roosegaardeは、2022年1月、「サステナブルな祝祭」というコンセプトのもと、生分解性を持つ素材でできたオーガニックな花火「SPARK」を開発したと発表した。

花火といっても、私たちに馴染みのある打ち上げ花火とは趣が異なる。SPARKはデザインとテクノロジーの融合から生まれた、幾千もの小さな光の集合体だ。蛍や鳥の群れ、銀河に着想を得たという光のかけらは、風の中を静かにたゆたう。

Image via Daan Roosegaarde

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打ち上げ花火のような一瞬の鮮やかさには欠けるかもしれないが、SPARKの淡い光を見ていると、まるで祈りのような、安らかな気持ちになってこないだろうか。花火は環境のことを考えて作られているため、人と自然のつながりについて思いを巡らすこともできそうだ。

Image via Daan Roosegaarde

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SPARKは、2022年6月にスペインのビルバオで開催される「The Wellbeing Summit for Social Change(ソーシャルチェンジのためのウェルビーイング・サミット)」で披露される予定で、地域の持続可能な未来を祝うという。

同サミットが取り扱うテーマは、神経科学の観点から考えるウェルビーイング、より良い組織文化の醸成、自然環境の一部である私たちなど、多岐にわたる。サミットではアートの役割が重視されており、きらきら光るSPARKも、私たちのウェルビーイングに貢献してくれそうだ。

サミットのキュレーターであるコリーナ・オットー氏は、プレスリリースで、「祝祭は、コミュニティがひとつになり、自分たちの文化を愛するための貴重な時間。SPARKは、人々に子どもの頃のような感情を呼び起こさせ、コミュニティのつながりを蘇らせるだろう」と述べている。

Image via Daan Roosegaarde

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花火は、その場にいる人たちが同じ方向に顔を上げるという一体感に、大きな意味があるのではないだろうか。花火大会の中止など、大勢の人が集まりにくい時期が続いたが、またあの夜空の輝きと、人々の生き生きとした表情が戻ってくるといい。

【参照サイト】 SPARK | Studio Roosegaarde

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