スマホは隠れたCO2排出源?北欧デンマークから、その解決方法を探る

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衣服や食品、プラスチック製品、自動車……これらの環境負荷はよく耳にするようになった。これらに加えて、私たちが日々使うものでありながら、地球環境を汚染し続けているものがある。一体何だろう?

スマートフォン

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答えは、スマートフォンだ。

実は、通信産業は世界全体の温室効果排出量のおよそ3%を占め、その量は航空業界の排出量に匹敵するとされている。生産段階におけるCO2の排出量が特に多いが、使用によっても一年間におよそ4.5~5.25キログラムのCO2が排出されている(※1)

この事実を受け、デンマークのスタートアップ企業・Worthmoreは、利用者がスマートフォンの使用によって排出したCO2を計算し、オフセットできる利用プランを提供している。

同プランの利用によって、ユーザーの月額の支払い料金の10%がCO2のオフセットのために利用される。そして15%が、会社主導の社会貢献活動への資金とされるほか、Worthmoreの一か月分の利益の25%が、社会にポジティブなインパクトを与えている様々な活動に投資されるという。

同社の特徴は、単にユーザーからのお金を寄付をしているだけではない点だ。Worthmoreでは、商品の購入者の不要になった古いスマートフォンの回収し、回収したスマートフォンのデータを消去したのち、リサイクルして再販売している。その売り上げ額は、植林や海洋保全プロジェクトなどの社会貢献活動を行う団体に寄付されている。つまり、新たに製品をつくることなく資源を循環させながら、寄付活動を行っているのだ。

電子機器は、廃棄物になってからも環境を汚染するが、とりわけ生産段階における環境負荷が非常に高いとされている(※2)。このことからも、Worthmoreのサービスが与える社会的インパクトは大きいと言えるだろう。

同プラン利用による月額の費用は約20ドル(149DKK)。完全にカーボンニュートラルでありながら、5Gで60か国以上と無料で通話可能。低価格でサービスを提供する他社と比較すると少々値段はあがるが、5Gを提供している他社と比べると同じくらい、もしくは安いくらいだ。まさに、「もっとも簡単な方法で、地球とコミュニティの一部になること」という同社のミッションを体現している。

Wothmoreのサービスは、自らがオフセットしたCO2だけでなく、自分を含めた利用者全体の社会インパクトを知ることができる点も魅力的だ。最近では、各航空会社のCO2排出量を比較しながらフライトを選んだり、環境に優しいホテルを選んだりと、サステナブルな旅が可能になってきている。同様に、CO2排出量など、自らの行動による環境負荷が様々な場面で知ることができれば、一人ひとりの行動も変わっていくだろう。

世界中で多くの人が日々使用する電話。環境に優しく利用できるようになれば、地球にとってポジティブな影響が、猛スピードで広がっていくのではないだろうか。

※1 Compare and Recycle The Environmental Impact of Your Smartphone
※2 UN Is your phone really smart?

【参照サイト】Worthmore
【参照サイト】Smart BTM
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