SNS疲れ、SNS離れという言葉をよく聞くが、それでもツイッター、インスタグラム、フェイスブックなどのSNSは多くの人に使われている人気のツールだ。
総務省の2021年度の情報通信白書によると、2019年から2020年にかけて、すべての年齢階層でSNSの利用率が上昇している。特に利用率が高いのは、20~29歳(90.4%)、13~19歳(86.1%)、30~39歳(86.0%)といった若い世代だ(※1)。
SNSを使うことで新しい繋がりができたり、情報収集ができたりするといったメリットはある。ただ、つい見栄を張った投稿をしたり、他の人の生活や人間関係と自分を比べて落ち込んだりしているうちに疲れてしまう。自分も相手も自然体でいられるSNSはないだろうか。
フランスで生まれたSNSの「BeReal」は、自分の写真を1日に1回投稿するだけの、シンプルな写真共有アプリだ。しかも、ランダムな時間にプッシュ通知が届いてから、2分以内に写真を撮って投稿しないといけない。そのため、写真を演出する時間がなく、皆のリアルな日常が一斉に共有される。
BeRealは投稿回数が制限されているため、自分のフィードが写真で溢れかえる心配がない。自分が写真を投稿しなければ、他の人の投稿が見れないため、デジタルデトックスにも有効だ。2分が過ぎてから投稿することも可能だが、その場合は通知が届いてから経過した時間の情報が、皆に共有される。
BeRealには写真の編集機能、フォロー機能、広告がないが、他の人の投稿にコメントしたり、絵文字で反応したりすることはできる。
「機能が限られていて面白くないのでは」と思う人がいるかもしれないが、アプリ調査企業のApptopiaによると、同アプリは2022年4月時点で約740万回インストールされている。また、2022年に入ってからのダウンロード数が、全体の65%を占めるという(※2)。
「過熱するSNSでの演出と距離を置きたい」と思い始めた人たちのニーズに、うまくマッチしたのかもしれない。
BeRealはアプリストアに、「BeRealは、あなたを有名にしません。インフルエンサーになりたい人は、引き続きティックトックやインスタグラムをご利用ください」という注意事項を載せている。有名になりたい願望がない人は、ぜひBeRealを使ってみてはどうだろうか。
※1 総務省|令和3年版 情報通信白書|インターネットの利用状況
※2 Social app of the moment, BeReal, grows users 315% YTD
【参照サイト】BeReal. Your Friends for Real.
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