遺伝子に傷がついてできた異常な細胞が増えていくことで発生する、がん。自分や身近な人が、がんと診断されたことがある人もいるだろう。
スペイン国立がん研究センター(CNIO)によると、スペイン人の3人に1人が、がんに罹患するという。がんの知識を深め、命の大切さを考えるために、どのような機会を設けるべきだろうか。
CNIOは、がんが他人事ではないことを多くの人に認識してもらうため、マドリードに「The Easiest Lottery to Win(最も当たりやすい宝くじ)」という名前の宝くじセンターを設置した。2022年2月の、世界対がんデーに合わせて行われたキャンペーンだ。
CNIOは、宝くじセンターに訪れた人に、がん研究を推進するための寄付プロジェクト「CNIO Friends」を紹介。キャンペーンを通じて、「がんを治せる病気にするために、何か力になりたい」と思った人は、がん研究者を支援することができる。The Easiest Lottery to Winによって、寄付額は60%増加したという。
同キャンペーンは、NBCやフォーブスを含む429のメディアで報じられ、大きな注目を集めた。多くの人が、がんを身近に感じたことだろう。キャンペーンを企画したPR会社は、プレスリリースで次のように述べている。
「スペイン人の75%が宝くじを購入しますが、当たる人は10万人に1人です。生涯でがんに罹患する人は、3人に1人です。がんは最も当たりやすい宝くじであり、私たちは皆、この病気により何かしらの影響を受けることでしょう。そこで、当社は宝くじの仕組みを使い、がんに関するショッキングな情報を伝えることにしました。」
The Easiest Lottery to Winはあくまでもキャンペーンなので、スクラッチで「がん」という言葉が出ても、大きく動揺はしないだろう。しかし、これが本当の診断であれば、動揺は計り知れないはずだ。
あなたはその後、少しずつ病気を受け入れていくことができるだろうか。
【参照サイト】CNIO establishes “lottery” retail store to raise awareness of the importance of cancer research – CNIO
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