読みたい本を探すとき、図書館や書店に立ち寄る人は多いだろう。だが、近所に書店などがなく、本に触れる機会が少ない人もいるかもしれない。
ユネスコによると、世界には読み書きができない大人が7億7,300万人いるという(※1)。読解力を身に付けるには、定期的に本を読むことが大切だ。
2009年に米ウィスコンシン州で始まった「Little Free Library(自由な小さい本棚)」というプロジェクトでは、すべての人にとって本がいつも身近にあるように、街中に本の交換所を設置している。
この本棚にある本は、365日いつでも持って帰ることができる。「本を持って帰るときは、必ず自分の本を置いていかないといけない」というルールはなく、「いつでも、できるときに本を置いていってくれたら嬉しい」というスタンスで運営されている。その名の通り、“自由な”交換所だ。
Little Free Libraryは世界100カ国以上に広まっており、2022年6月には米テネシー州に、15万個目の交換所が誕生した。日本でも、大分県の豊後高田市や埼玉県の三郷市などに、Little Free Libraryが設置されている。
このプロジェクトによって、世界で毎年7千万冊もの本がシェアされているという。人々の自発的な善意に委ねられた活動がこれほど盛んになるのは、素晴らしいことではないだろうか。
Little Free Libraryを運営するアメリカのNPOの調査によると、92%の人が「本の交換所があることで、住んでいる地域への親近感が増した」と回答している(※2)。人とのつながりを感じられるという意味でも、Little Free Libraryは大切な役割を果たしていそうだ。
Little Free Libraryの「Read in Color(カラフルな読書体験を)」という取り組みでは、本を通じて多様性への理解を深めてもらうことにも力を入れている。黒人、先住民、有色人種(BIPOC)やLGBTQ+の人々などの気持ちが代弁された本を、積極的にシェアするよう呼びかけている。
あなたも、「もういらないけど、フリマアプリなどで売るのも手間がかかる」と感じている本があれば、Little Free Libraryに持って行ってみてはどうだろうか。
※1 Literacy | UNESCO UIS
※2 About Little Free Library – Little Free Library
【参照サイト】Homepage – Little Free Library
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