ロシア、カナダ、アメリカに次いで、世界で4番目に面積が大きい国である中国。
そんな隣国が推進する気候変動対策は、どのようなものだろうか。アジア開発銀行の2018年のレポートに掲載された事例のうち、編集部が厳選したユニークな10事例を紹介する。
中国発、10の気候ソリューション
01. パンダ型太陽光発電所で、再エネを楽しく(山西省大同市)
大同市の1万世帯以上の電力を供給するという、パンダ型の太陽光発電所。暗い色の単結晶シリコンと、明るい色の薄膜のセルを使うことで、パンダの姿を強調している。再生可能エネルギーの魅力を発信し、若い世代の注目を集めようとしている。
【参照サイト】Panda Power: Turning the Sun into Fun | Global Opportunity Explorer
02. ブタ糞尿がお金に。バイオガス企業と畜産農家の取り組み(河北省衡水市)
畜産農家がバイオガス企業にブタ糞尿を提供すると、お金がもらえる仕組み。施設にあるバイオダイジェスターでは、14万頭ものブタの糞尿を処理し、バイオガスを作ることができる。年間発電電力量は8.42ギガワット時。
【参照サイト】Win-Win Scheme Turns Pig Waste into Power | Global Opportunity Explorer
03. 閉鎖された埋立地が、緑の憩いの場に(湖北省武漢市)
50ヘクタール以上もの土地で多様な植物を育て、土壌の質の向上に取り組んだ。廃棄物でいっぱいになった場所が、市民の楽しみの場に変われることを示す事例。埋立地から発生する汚染物質といった、環境リスクの低減にもつながった。
【参照サイト】Green Haven Rises from the Ashes of Old Landfill Site | Global Opportunity Explorer
04. 低炭素パスポートで、エコツーリズムを推進(福建省南平市)
旅行中にカーボンクレジットを取得すると、観光地を訪れるときに割引を受けられる仕組み。低炭素型観光を推進するために、グリーンインフラを導入。4か月間で1万冊以上の低炭素パスポートが発行され、人々の環境に配慮した行動を促した。
【参照サイト】Low-Carbon Passport Improves Ecotourism | Global Opportunity Explorer
05. 通勤者のためのシェアバス(北京市)
公共交通機関の整備が不十分だという北京市。そこで、民間バス事業者が、住宅地と職場をつなぐシェアバスを運行。利用したい人は、WeChatなどのアプリでルートを選択し、決済を行う。通勤時間の短縮につながる取り組み。
【参照サイト】Speedy and Comfortable Commute with Shared Bus Service | Global Opportunity Explorer
06. 自宅の屋根に太陽光パネルが設置され、電気代が25年間無料に(山東省青島市)
太陽光発電事業者が補助金を活用し、約70戸の住宅の屋根に太陽光パネルを設置。発電した電気の半分は、事業者が買い取る仕組み。住民は、電気代が25年間無料になることを保証された。
【参照サイト】Rooftop Solar Energy Cuts Costs and Carbon | Global Opportunity Explorer
07. 地域の強風を活かして風力発電。冬でも家を暖かく(内モンゴル フフホト市)
冬にはシベリアから風が吹き、マイナス40度になることもある内モンゴル。この風力資源を地域暖房ネットワークに活かし、石炭使用量の削減につなげた。25メガワットを供給する能力を有する、電気ボイラーを導入している。
【参照サイト】Winds of Change for District Heating | Global Opportunity Explorer
08. 350キロメートルの緑豊かな自転車道(青海省西寧市)
川沿いに木を植えながら、自転車道も作る計画。自転車道を通りながら、観光スポットを巡ることができる。年間CO2排出量を1万2千トン削減し、大気環境を改善することを目標にしている。
【参照サイト】Linking Green Spaces for Cyclists | Global Opportunity Explorer
09. レストランから出る生ごみを肥料に(四川省成都市)
最先端の廃棄物処理施設を建て、1日200トンの生ごみを肥料にする計画。受託業者は、レストランから集められた生ごみの量に応じて報酬を受け取る。グルメスポットとして知られる成都市の、資源の有効活用に期待したい。
【参照サイト】Responsible Recycling of Kitchen Waste Cuts Emissions | Global Opportunity Explorer
10. 水害に備えるスポンジ都市(山東省膠州市)
洪水や海水侵入の脅威にさらされている膠州市。貯水池や透水性舗装を導入し、スポンジのような機能を持つ街づくりを推進している。貯留した水は、トイレなど飲用以外の用途に利用する計画。
【参照サイト】Sponge Infrastructure Improves Resilience and Water Security | Global Opportunity Explorer
まとめ
レポートでは、全部で50の事例が紹介されている。中国の地図を参照しながら、各地域の実情に即した取り組みについて学んでみたい。
【参照サイト】50 CLIMATE SOLUTIONS OF CITIES IN THE PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA by Sustainia – Issuu
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