エコストア全国100ヶ所で洗剤量り売りを自動化へ。日本初の試み

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環境問題やプラスチック使用をめぐる課題を知ったとき、「今できるアクション」として挙がりやすいものの一つが、量り売りだ。実際に行ってみたことがある人や、近くの店を調べたことがある人は多いのではないだろうか。

ただ、すぐにあることに気が付く。なかなか近所で立ち寄れる量り売りの店舗が少ないのだ。日本でも量り売り専門店が増えているものの、遠方まで出向かなければならないことが多かった。また、量り売り店では充てんをスタッフに依頼する形態も多く、店が忙しい時間帯や自分自身が急いでいるときには、なかなか利用しにくい。せっかく何か行動を変えてみようとしても、その第一歩がくじかれやすいのだ。

そんな最初のハードルを、解決するかもしれない動きがある。

環境負荷の低い日用品の販売や量り売りを手掛けるエコストアジャパンが、2024年秋から日本全国で自動洗剤充てん機の導入を進めることを発表した。これは消費者向けの洗剤販売として日本初の試みだという。これまでは手作業でキャップを開け閉めしたり、店員に声をかけたりする必要があったリフィル作業を、より簡単で気軽に、かつ顧客自身で完結させることができるのだ。

まずは2024年10月頃に、エコストア恵比寿直営店での導入開始が予定されている。それに続いて、セレクトショップやスーパーマーケット、ドラッグストアなどへの導入を進め、国内100か所での設置を目標とするそうだ。

今回導入される自動洗剤充てん機は、ノルウェーのSmatSeal AS社が製造しているもの。実際に量り売りを行うには、はじめに機械中央にあるパネルでリフィルしたい洗剤の種類を選択する。指定の場所に容器をセットすると、洗剤が自動的に充てんされ、満タンになると自動的に止まり、支払い用のバーコードがついたシールも出てくるようだ。

この自動化は、買い手にとって便利なだけではない。これまでは、運用にかかる人的コストやスペースの問題で量り売りの導入に踏み込めない店舗も多かったという。自動化が進めば、従業員の負担を増やすことなくリフィルができ、これまで導入を諦めざるを得なかった小さな店舗でも、量り売りを導入しやすくなるだろう。

現代ではほとんど馴染みがない存在となってしまった、日用品の量り売り。経済活動が「大量生産・大量消費」を前提に行われることで、使い終わったモノがごみになることは、当たり前になってしまった。しかし、かつての日本では、食品を中心に量り売りの文化が根付いていた。そんな暮らし方を取り戻そうとする動きは、環境問題への意識の高まりと共に強くなっていると感じられる。

環境問題の解決へのアクションをとりたいけれど、そこまで大きく生活を変えることも難しい……現代の忙しい日常とのはざまで、そんなモヤモヤを抱える人も多いだろう。自動量り売りスタイルの拡充は、理想と現実のギャップを埋めてくれる一歩となりそうだ。

【参照サイト】【ecostore(エコストア)】 エコストアジャパン、SmartSeal、エコストアカンパニーリミテッド、日本市場での新リフィルシステム開発協業へ基本合意書を締結
【参照サイト】エコストア、洗剤のリフィルステーションを自動化し全国で導入予定
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