捨てるはずのバイオマス素材を、ヘルスケアに。ファーメンステーションと岩手大学が共同研究を開始

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※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「Zenbird」からの日本語訳・編集・転載記事となります。

食料生産や加工の過程で生まれる「未利用バイオマス」。普段、私たちが米や日本酒を消費する過程で大量に発生し廃棄されている米ぬかや酒粕などというと想像しやすいだろうか。未利用バイオマスの有効活用は、資源循環と経済性の両面から重要な課題となっている。

この解決に向け、バイオものづくりスタートアップである株式会社ファーメンステーションと岩手大学農学部が、2025年11月から共同研究プロジェクトを開始した。この連携の目的は、アップサイクルされた未利用資源から、新たなヘルスケア機能の可能性を探索することだ。

具体的には、約50種類の未利用バイオマスに対し、酵母、乳酸菌、麹菌など約30種類の微生物を組み合わせ、約1,500種類の発酵サンプルを作成し、その機能を評価するという。この過程で、過剰な中性脂肪や皮下脂肪を抑える可能性を発見できるかもしれないのだ。

ファーメンステーションはこれまでも、独自の発酵技術を用いて岩手の休耕田やそこで作られるお米、企業の食品・飲料工場から排出される残渣(ざんさ)などの未利用資源を“価値のある何か”に変え、化粧品や日用品などの原料として活用する事業を行ってきた。2022年3月には、公益性の高い企業に与えられる国際認証「B Corp(B Corporation)」も取得し、さらなる歩みを進めている。

”発酵”で社会を変えていく。国際認証B Corpを取得した「ファーメンステーション」が描く未来とは?

今回の岩手大学との取り組みは、発酵バイオマスから高機能素材を開発するためのモデルとなるだけでなく、より広範なスクリーニングプロセスの第一段階としても位置づけられている。まだ実験段階だが、これまで捨てられていた未利用バイオマスによる、新たなヘルスケア素材の可能性にいち早く着目している両者の動きをこれからも注視したい。

【参照サイト】岩手大学と共同研究を開始 -未利用バイオマス発酵産物のヘルスケア機能を探索-
【関連記事】B Corp(B Corporation)とは・意味

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