都市計画版Tinder!?行政と市民が相思相愛になる世論調査アプリ「CitySwipe」

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行政が市民の意向をしっかりと吸い上げて政策に反映させるのは容易なことではない。パブリックコメントを募集してもなかなか意見は集まらないし、そもそもその存在すら知られていないことも多くある。だからと言って、市民の意見を汲み取らずに政策を進めると、時には反対運動やデモで一触即発の事態に発展することもあるから難しい。

そんな行政と市民の関係を改善し、より円滑に市民を政策づくりに巻き込むためのプロセスとして、有名な出会い系アプリ「Tinder」のUIデザインを模したアプリを用意して都市設計にいかす取り組みが、米国カリフォルニア州サンタモニカ市で始まった。

非営利団体ダウンタウンサンタモニカは、今後20年間の都市開発について、行政への助言や協議を行う上で、「CitySwipe」というアプリを導入した。このアプリ、出てきた異性の顔を好みにしたがってスワイプしていく仕組みそのままに、市民は出てきた写真を左右にスワイプするだけで行政の設問に回答することができる。この簡単操作がものを言い、より手頃な住宅、交通アクセスや駐車場、公共施設の拡充等についてのオピニオンをスイスイと収集することに成功している。

CitySwipe(※写真:CitySwipeより)

熱心なごく一部の市民が、わら半紙に長々と意見を書いて、役所の意見箱に投函する。それを読む行政担当者は、読みづらい手書きの文章を苦戦しながら解読し、データを手作業で集積する。このような従来のお役所仕事とは対照的に、シナリオと画像入りの「どちらが好きですか?」といった誰でもわかる簡単な質問に手元の携帯で「はい」、「いいえ」と指一本で答えるだけ。デジタルだから当然ながらデータは自動で集計できる。

このアプリを用いて、カリフォルニア州と国境を挟んだ反対側のメキシコシティは、新憲法に関する全国的な調査を行い、欧州でもノルウェーのオスロ市が児童生徒の安全な登校ルートの再設計に取り組み、世界的な広がりを見せている。

ITが世の中を急速に変えていることは疑いの余地はないが、行政は新たな取り組みに及び腰になることもしばしば。IT産業のメッカともいえるカリフォルニアで始まったことは偶然の出来事ではない。ITでオープンな政府を推進していこうという土壌あるからだ。日本では18歳成人が若者の政治や社会参加への関心を高めるといった様々な議論もある。

社会の制度を変えることもそうだが、日本も携帯文化に関しては、世界の最先端、もしくはその後ろにぴたりとつけて走っていると言える。このような市民のすぐ手元にある携帯アプリのUIデザインの工夫次第で、市民の参画を促して、民意をうまく反映させたよりよい都市づくりができるのではないだろうか。

【参考サイト】CitySwipe
【参照記事】Tinder for cities: how tech is making urban planning more inclusive
【参照記事】Could this ‘Tinder for cities’ change the way your hometown is designed?