熱を宇宙に送って空気を冷やす。スタンフォード大が開発する未来のエアコン

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真夏の暑い日にはエアコンが欠かせない。しかし、エアコン使用が大量のエネルギーを消費することは誰もが知っている。日本では、一番電気代がかかる家電がエアコンだ。このエアコンの電力消費問題に対し、スタンフォード大学の研究者らが画期的な研究を行っている。それは、「熱を宇宙に送って空気を冷やす」というものだ。

スタンフォ―ド大学は9月4日、電気を使わずに過剰熱を宇宙へ送って水を冷却するシステムを発表した。

今回発表した同大学のFan教授は「熱は暑い所から寒い所へと流れるもの。宇宙はとても寒い。我々は、宇宙に熱を送れば電気を使わずに地球を冷却できる。地球から宇宙に送れる熱は膨大だ。」と語る。

宇宙への放射冷却は、地球上の全ての人と物が行っている自然のプロセスだ。

エアコンが必要になる真夏の暑い日は、宇宙へ放射冷却される熱よりも、太陽光が地球を暖める熱の方が大きいため、気温が上昇する。これを解決すべく、スタンフォ―ド大学は特別なパネルを開発した。このパネルの大きさは2フィート四方で、表面は多重のレイヤーフィルムで作られている。パネル下に水を循環させ、建物の屋上に設置して実験を行ったところ、設置パネルは太陽光を97%反射しながら、表面熱を宇宙に放出し、3日間で水を3~5度冷却することに成功した。

@ Aaswath Raman

太陽光を反射することで太陽から受ける熱が極めて小さくなり、宇宙への熱放射が効果的に行われたのだ。この技術により、どんな天気や気温でも空気を冷却できるようになる。

さらに、スタンフォ―ド大学チームは、ラスベガスの商業ビル屋上にもパネルを設置した。ラスベガス、そしてビルの屋上は暑く乾燥しており、パネルが最もよく機能する場所である。このパネルで冷却された蓄電器を使った蒸気圧縮システムで、どれだけ電気が節約できるかを計算した。

その結果、夏はパネルの冷却システムは既存の冷房より14.3MWh節約し、建物冷却に必要な電力を21%削減した。全実験期間では、1日平均18~50%の電気を削減した。

現在、スタンフォード大学の教授らが立ち上げた会社SkyCool Systemは、このパネルを従来のエアコンや冷蔵庫と統合させた場合に、どれだけエネルギーを節約できるかを測定中だ。教授らは、この技術があと何年かで世界中で適用できると考える。

「冷却のための莫大な資源として、そして、興味深い創造的なアイデアの源として宇宙を考えることはとても面白い。」と、Fan教授は語る。

誰もが知っている「熱は暑いところから寒いところへ流れる」という原理で、地球と宇宙を結び付けて考えたスタンフォード大学の研究は、論理的かつ画期的で夢に満ちている。これからのさらなる研究開発が本当に楽しみだ。

【参照リリース】Sending excess heat into the sky

(※写真:スタンフォード大学より引用