食べ物の賞味期限や消費期限が切れていても、大丈夫だと自己判断して食べたことがあるという人は大勢いることと思う。それでやっぱり大丈夫だった、というパターンが大半だろう。だからと言って、スーパーマーケットやレストランなどのお店は「どうせ大丈夫だから」と期限切れの品を売るわけにはいかない。法律面の問題があるうえに、食中毒などが発生したら大変だからだ。
Real Junk Food Projectを立ち上げたAdam Smithはこのジレンマに課題を感じていた。国際連合食糧農業機関の2011年のデータによれば、人間が消費するために生産された食品の約1/3 が毎年無駄になっている。期限が切れたからというだけで食品を捨てるのは勿体ないのではないか。そう考えたAdamは、Pay As You Feel(払いたいと思った分だけ払って)のコンセプトのもと、期限切れの食品を提供する活動を始めた。
Real Junk Food Projectによる食品の提供はカフェやケータリングなど様々な形態に及ぶ。食品は卸売業者やレストランなどから入手し、長年の経験と常識を働かせて食べても問題ないと判断した品を提供する。設立者のAdamは厨房で長く働いた経験を持つシェフでもあるため、そのチェックは抜かりない。また食品の輸送、保管、調理などの過程も衛生基準を満たしている。
このプロジェクトがなぜPay As You Feelのルールで運営されているかと言うと、これなら食品を「販売」していることにはならないため、期限切れの食品を扱っても法に抵触しないからだ。ここで食べ物をゲットした人は寄付というかたちで金銭的な支援をしたり、時間やスキルを提供したりしてプロジェクトに参加することができる。
Adamたちの目的は、これらの食品は誰にとっても価値があり安全だと示すこと。そのため、ホームレスや難民など特定の層に限定してサービスを提供することはしない。サービスの対象は全人類であり、誰もがこのアイデアに賛同できる立場にいる。食品廃棄問題への当事者意識を思い出させてくれる取り組みだ。
【参照サイト】The Real Junk Food Project