IBMが提唱する、IoT時代の新しい職域「ニューカラー」

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従来のホワイトカラー、ブルーカラーとは全く異なる役割を担う「ニューカラー」という職域を大手コンピュータ会社のIBMが提唱している。ニューカラーの人材とはサイバーセキュリティやデータサイエンスなどのIT分野で活躍する人を指し、学歴よりも業務に関連したスキルを重視して採用される。

IBMはなぜ今、「ニューカラー」職の重要性を強調しているのか。それは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の進展とAIを利用したインフラの拡大に伴い、従来はブルーカラーが中心だった製造業と、ホワイトカラーを中心とするIT業との境界線がなくなりつつあるからだ。また、車から住宅にいたるまであらゆるものがインターネットにつながっていくなかで、サイバーセキュリティ上の脅威はかつてないほどに高まりつつあり、IoT時代のサイバーセキュリティ専門職に対する需要も増している。

こうした時代の変化に伴い、ホワイトカラーともブルーカラーとも表現できない新しい職域が生まれるのだから、それに合わせた新しいタイプの人材を創出しましょう、という話だ。

このIBMの話から伺えるのは、AIをはじめとするテクノロジーの進展は既存の雇用をリプレイスする一方で、全く新たな職に対する需要を作り出すという事実だ。たとえそれがまだ明確な名前を持たない職業であるにしても。

話は変わるが、日本でも将来IT系の職に就きたいと考える学生は多い。ソニー生命が行った平成29年度の「中高生が思い描く将来についての意識調査」によると、男子中学生が将来なりたい職業の1位は「ITエンジニア・プログラマー」、2位は「ゲームクリエイター」、そして男子高校生は1位「ITエンジニア・プログラマー」、3位「ゲームクリエイター」だという。既存の職業からしか選びようがないので既存のものになるのは止むを得ないが、それなりに需要と供給のバランスがとれていると言える。女子中学生の1位が「芸能人」、2位が「絵を描く職業」と回答しているのと比較するとよほど現実的だ。

小学生の65%は今存在しない職業につくという話があるが、ニューカラーもまさに「今存在しない職業」の一例だ(IBMはすでにニューカラーの人材を採用したが、まだまだ一般的な概念とは言えない)。

今はITエンジニアになりたいと言う学生が、将来的にニューカラー職に就く可能性は大いにあり得る。時代の流れといった外的要因と、彼らの漠然とした夢が交差するところに「将来の姿」が結実する。あらゆるテクノロジーに囲まれた育ったデジタルネイティブ世代の彼らの想像力が、未来の「ニューカラー」という仕事の輪郭を形作ることになるのだろう。

【参照サイト】IBM、「ニュー・カラー」向けのサイバーセキュリティー・スキルに関する取り組みを開始
【参照サイト】IBM CEO ジニ・ロメッティ氏がドナルド・トランプ次期大統領に手紙で伝えた6つの提案

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