ニューヨークのウェストフィールドにあるクラフトビールブルワリーのFive & 20 Craft Spirits and Brewingが、養殖スタートアップのTimberFish Technologiesと提携し、独自の養殖施設をオープンした。ブルワリーの蒸留時に出る廃水を活用して魚の餌を作り、魚を育てるという新たな取り組みだ。
この新たな施設により年間20,000ポンドの魚の養殖が可能となり、将来的に200~300名もの新たな雇用を生み出されるという。廃水を無駄にせず有効活用して新たな食料を生み出し、かつ雇用も創造するというとてもサステナブルなシステムだ。
養殖とブルワリーがどのように結びつくことで、魚を育てることができるのだろうか。一連の流れの仕組みをご紹介したい。まずは、魚や小さな生き物のための70フィートの長さのタンクシステムを作り、クラフトビールの蒸留所から出た廃水をろ過し、地元の木材チップと混合する。そして、窒素とリンを水に放出し、微生物を内部に供給。これらの微生物は、底に沈みながら水をきれいにするため、その過程を通じて成長し、魚の餌となる虫やカタツムリに餌を与える。ここで、養殖用の魚の餌が生成される。
その後、養殖され成長した魚はタンクの底に食べ物を排泄し、タンクの底に沈む微生物が食べる別の食物源を提供する。この一連のサイクルによって、魚に持続可能な生態系を提供することができるのだ。この新しい技術を用いることで、今後あらゆる種類の海水や淡水で魚の養殖が可能になるという。
現在養殖しているのは、アメリカナマズ、オオクチバス、イエロー・パーチだが、最終的にはニジマスや大西洋サケ、ブルックトラウトなどにも挑戦していく予定で、この技術を世界中で展開していきたいと関係者は語る。
ここで養殖された一番最初の魚は、2018年の春〜夏の間に漁獲して地元の市場とFive & 20 Craft Spirits and Brewingが提携するレストランへ卸される予定だ。
「限りある資源を無駄にせず、余すことなく最大限に活用する」という持続可能な社会への取り組みは、いま世界中で続々と進んでいる。この一見繋がりがないようなジャンルの産業を組み合わせて、お互いがwin-winとなるような新たなビジネスを生み出したFive & 20 Craft Spirits and BrewingとTimberFish Technologiesのパートナーシップは、今後の養殖業の未来において非常に大きなインパクトとなるに違いない。
【参照サイト】Five & 20 Craft Spirits and Brewing “How a Westfield beverage maker’s by-products will help raise fish”
【参照サイト】Unique new high-tech fishery opens in Westfield
(画像:Timberfish Technologies より引用)