エコで快適な職場環境づくりや従業員の健康が重視される昨今では、オフィスの中で緑を見かけることも珍しくなくなった。オフィス内に緑があるだけで従業員の幸福度と生産性は向上するという研究結果もあり、オフィスの緑化はビジネスにもプラスをもたらす取り組みとして普及が進んでいる。
その一環として世界中で注目されているのが「グリーンウォール(緑の壁)」だ。グリーンウォールとは、室内の壁や間仕切りに植物を植えたり備え付けたりする壁面緑化のことを指す。ただ植物を置くのとは違い、スペースをとらずに室内の緑を増やせるというメリットもある。
このグリーンウォールがもたらす効用を、テクノロジーの力でさらに飛躍させようとしている会社がある。フィンランドのスタートアップ、Naavaが開発したのは、AI(人工知能)とIoTを活用した完全自動による空気清浄、給湿、室内植物といった多くの機能を兼ね備えたユニークなグリーンウォールだ。今年11月にはアメリカ進出を果たし、ニュージャージーに工場を設立した。
Naavaのグリーンウォール換気システムはとても効率的だ。グリーンウォールの植物が室内の空気を取り込んで新鮮な空気に変え、その空気を扇風機で室内に送ってくれる。
そして、このグリーンウォールの1番の特徴は、所有者が自分で植物の世話をする必要がなく管理が簡単だという点だ。表面は植物で覆われているものの、内部には最新のテクノロジーが装備されており、人工知能とセンサーにより植物の状態を常にチェックし、グリーンウォールを隙間ない完璧な形に整える。
照明も内蔵しているため太陽光は必要なく、使用する植物はアレルギー性の無いもので土も不要だ。普通のコンセントがあれば使用でき、水タンクが内蔵されているので、水もやらなくてもいい。さらに、 Naavaのサービスチームはグリーンウォールの状態維持のために4~6週間ごとにメンテナンスを行っているなど、至れる尽くせりのサービスなのだ。
また、Naavaのグリーンウォールは人目を引き、私たちに元気を与えてくれる健康的で美しいオフィス家具でもある。オフィスや会議室、仕事場の換気に最適で、植物が備え付けられた面の反対側は黒板やホワイトボードとしても利用できる。設置方法も自由自在で、そのまま置くことも、壁に固定することもできる。下に車輪をつけてオフィス内を自由に移動することもできるので、Naavaをいくつか繋げて空間の仕切りとして使うことも可能だ。
Naavaは、この自然とハイテクを兼ね備えたオフィスインテリアにも最適なグリーンウォールを「NaaS(Nature as a Service)」と表現している。インターネットの世界ではSaas(Software as a Service)、Pass(Platform as a Service)という表現はよく使われるが、NaaSというアイデアは素敵で新しく、誰の耳にも心地よく響く。
Naavaの共同創立者でCTOのNiko Järvinen氏はこう語る。「今、私たちは1日のうち22時間を屋内で過ごしている。屋内は屋外よりも空気が汚れており、アメリカ人は皆、1日3,000ガロンの屋内の汚れた空気を吸っている。そして、屋内は自然から隔離されている。私たちは人工的な屋内の環境では効率的に動くことが出来ないし、健康的でもない。Naavaはヒトに優しく健康にいい屋内空間をつくることで、この状況を変えていきたい。」
Naavaは、先日ボストンで開催された世界中のグリーンビルディング関係者が集まる国際会議博覧会GreenBuildでグリーンウォールを展示し、イギリスの科学技術雑誌WIRED UKにおいて、フィンランドで1番ホットなスタートアップ、そしてヨーロッパで最もホットなスタートアップの1つに選ばれた。
オフィスや学校、そして家の中に新鮮な空気を取入れ、自然を感じられるNaavaのグリーンウォール。空間の仕切りとしても使用できるなど、得られる効果は大きい。グリーンウォールの緑を見ると元気が出て、仕事もはかどることは間違いない。無機質になりがちなオフィスに自然の暖かみのある緑を取入れてリフレッシュ。植物の成長も楽しみになるかもしれない。ぜひNaavaのグリーンウォールを試してみたいところだ。
【参照サイト】World’s smartest green wall Naava introduced to U.S. market
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(※画像:Naavaより引用)