最近、とくに欧州をはじめとして世界各国でプラスチック禁止の波が広がっている。たとえば、イギリス王室でのプラスチック製品の使用禁止が記憶に新しい。
そして、この流れをさらに加速させそうな決断がなされた。今月9日、コーヒーショップの王様といっても過言ではないスターバックスが、2020年までに世界約28000店舗での使い捨てプラスチックストローを廃止することを発表したのだ。
スターバックスの生まれ故郷シアトルでも先日、飲食店などでプラスチック製の使い捨てストローの使用を禁止する条例が施行されたばかりだ。
便利で早く、気軽に楽しめるのが魅力のひとつでもあるテイクアウトのコーヒー店やファストフード店でのゴミの廃棄が問題なのはいうまでもないだろう。そんななか、スターバックスという世界各国で繁栄する巨大チェーン店でストローを廃止すると、年間で10億本以上のストロー廃棄を削減することができるほどの影響がある。
スターバックスでは、ストローなしのフタをデザイン、製造し、アイスティーやアイスコーヒーなど冷たい飲料の新スタンダードにしようとしている。すでにアメリカとカナダで、一部の飲料の購入時にこれらのカップが使用されており、今後は日本、中国、シンガポールなどアジア各国の店舗でも導入予定だ。
また、フラペチーノなど、ストローが欠かせない飲み物には、代替ストローが使用される。これらには紙または再生可能プラスチックが使用される予定だ。
「スターバックスで2020年までに使い捨てプラスチックストローを廃止するという目標から、同社が資源の無駄遣いを削減することに懸命に取り組む姿勢がうかがえる。現在、プラスチックは海へ流れ込み、海の生き物たちに悪影響を及ぼしている。私たちがスターバックスと協力することで、ほかの飲食店の環境保護の意識を高めたい」とアメリカの世界自然保護基金(WWF)のサスティナブル研究開発と素材科学責任者Erin Simon氏は語る。
スターバックスは30年にわたり、サステナブルなビジネスに注力してきた。たとえば、同社で販売されるコーヒーは99%エシカルな供給である。また、リサイクル可能な耐熱カップの開発と導入のために、1000万ドルを投資し、アメリカのサーキュラーエコノミー投資ファンドであるClosed Loop Partners社と連携してきた。
ほかにも、ロンドンでは使い捨てカップ代を徴収し、アメリカでは海の廃棄プラスチックを集めて作られた水筒を販売、そして日本では豆かすをリサイクルし飼料を作ったりと、世界各地でご当地リサイクル活動をおこなっている。
確かに、紙のストローはコストが高かったり、結局プラスチックのフタを使っているという批判の声はある。しかし、スターバックスの例のように、グローバル企業がプラスチックを廃止したり、再生可能素材に代替する動きが広まってきていることはいい流れだ。ビジネスを運営して商品やサービスを提供する側も、顧客としてそれらを消費する側も、自らの行動に責任を持たなければならない時代なのである。
2020年に、ストローではなく蓋からコーヒーを飲む人々の姿が新たな朝の定番風景となるのが楽しみだ。
【参照サイト】Starbucks to Eliminate Plastic Straws Globally by 2020
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(※画像提供:Starbucks)