英国のリバプール市はこの程、ポセイドン財団と提携し、2020年末までに世界初の「クライメイト・ポジティブ」な環境都市を目指すことを発表した。同財団が提供するブロックチェーン・プラットフォームを活用した1年間のテストを行い、市で排出される炭素の110%以上の相殺を狙う。
この目標を達成するにあたり、リバプール市は2030年までにカーボンインパクトを40%削減することも掲げており、街路灯のエネルギー消費を82%削減するために、現在2,000の道路に1万5,000以上の省エネLED街路灯を設置している。2012年以来、同市は既に55万8,000トン以上のカーボンエミッションを削減してきた。
ブロックチェーンは、気候変動の解決に取り組む上で重要な役割を果たす技術として注目されている。ポセイドン財団のプラットフォームは、トークン化されたカーボンクレジットの安全なオンライン取引を促進するオープン・ソースの場として機能するようだ。すでにアイスクリームメーカー「Ben&Jerry’s」が、同プラットフォーム上でカーボンクレジットを購入することでアイスクリームを生産する際の環境への影響を相殺するテストも行っており、わずか3週間で1,000本以上の樹木が保護された。
ポセイドン財団は、マルタに本拠を置く非営利団体。ブロックチェーン技術を活用し、気候への影響が大きい森林の保全活動を透明化する取り組みを行っている。今回のテストの一環として、その事業をリバプール市に移転する予定だ。市に技術を提供する以外にも、地元の学校や企業と協力した教育プログラムを行い、気候への負担を減らすよう一般市民を啓発する。
リバプール市のジョー・アンダーソン市長は、「世界中の気候変動プロジェクトと直接結びつくポセイドン財団とのパートナーシップに合意できたことを嬉しく思います。ポセイドン財団の技術は、気候変動の原因を解消するために政府、企業、個人に真の解決策を与えてくれる最初のものです。今回の提携により、私たちの都市にこの最先端技術をもたらされるのが楽しみです。」と述べる。
古くから港町として栄え、外に目が向いているリバプール。一大ブームを巻き起こした世界的なロックバンド「ザ・ビートルズ」を輩出したことで知られるが、視野の広さと先進的な発想は環境面の対策にも宿っているようだ。
【参照サイト】Liverpool bids to be first ‘Climate Positive’ City by end of 2020
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