人類の起源であり、今もなお広大な自然が広がるアフリカ大陸。日本に住む私たちにははるか遠い場所に思えるかもしれない。
しかし、アフリカでも、食料廃棄問題は深刻だ。生産された食物の約40%が食べられずに捨てられてしまうという。国連の調査によると、アフリカ大陸内で廃棄される食物の合計は、なんと人口約3億人分の食事に値するという。
豊かな自然と、チンパンジーなどの珍しい動物が生息することで有名な、中央アフリカに位置するウガンダ。この国の政府も、国内の食料廃棄の問題を認識しているものの、具体的な対応策をとることはできていない。
「市場で販売されている食材の多くは、長期保存が難しいため、捨てられてしまうことが多い。そして、翌日新鮮な食材を販売するために、また収穫しなければならない。乾季にはほとんど植物が育たず、飢えに苦しむ人がいる一方で、市場では多くの食材が腐り、捨てられているという現状がある」とウガンダ出身の23歳の学生であるLawrence Okettayot氏は語る。この若き学生が食料廃棄問題を解決するポテンシャルのある機械を発明した。
Sparkly Dryer(きらめくドライヤー) という愛らしい名の機械は、従来は鮮度が落ちると捨てられてしまっていた食材を、乾燥させることで、数カ月先まで保存できるようにする。
伝統的な、太陽光を用いた乾燥方法では雨季に対応できず、近年開発された電気乾燥機は高価で入手しづらい。一方で、このSparkly Dryerは80米ドル(約9000円)とリーズナブルだ。
見た目は小さな冷蔵庫のようだが、電力ではなく、バイオ燃料で動くという。これならば、環境にやさしいだけでなく、都市から離れた地域に住んでいるなどの理由で、電力を手に入れにくい農家でも利用することが可能だ。
機械には2つの扉があり、下部で火を用いながら、上部にいれた食材を乾燥させる。1回2時間の利用で、10キロのマンゴーを乾燥させることができる。もちろん、このプロセスで有毒ガスが外に放出されないように触媒コンバーターもついている。
Sparkly Dryerの最初の購入者の一人であるLawrenceのおじはこう語る。
「今までは育てた植物のほとんどを捨ててしまっていた。しかし、Sparkly Dryerを使えば、何も無駄にしない。また、乾季の間は、乾燥食材を売ることで、生野菜を売るよりも、4倍の売上がある。」
食料廃棄を減らすだけでなく、農家の立場に寄り添った発明であるSparkly Dryer。開発者のLawrenceは、今後さらに事業を促進し、世界に広めていきたいという。
食料廃棄は全世界で深刻な問題となっている。国や企業、個人などさまざまなアクターがその問題を少しでも解決しようと動いている。そんななか、Sparkly Dryerというシンプルな技術を用いてはいるが地元のニーズにマッチした機械を若者が創り出したというのは興味深い。なにか革新的なものを発明しなくても、私たち若者一人ひとりが問題を真剣に考えて、行動することがなによりも求められているのだろう。
【参照サイト】The student trying to solve the food waste crisis
(※画像:BBCより引用)