世界的アーティストが共同制作。漁業の闇を訴える1分間の「美しい動画」

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この動画を見てほしい。暗い夜の海辺で、華麗な衣装を身につけ舞う2人のダンサー。1分間の短い動画だが、美しくも緊張感のある音楽と、伸びやかなダンスに惹きつけられる。

動画の製作には、世界的に活躍しているアーティストたちが携わっている。映像演出、衣装デザインは、ハリーポッターのシアタープロダクション製作チーム等に参加し経験を積んだのち、現在では環境問題に興味をもち、アップサイクル=リサイクル可能な材料を使用して衣装を制作し、イギリスやドイツで行われるファッションウィーク・サステナブル部門で発表を続ける世界的コスチュームデザイナー、タニクミコ氏。

映像ディレクターは、サザンオールスターズの『闘う戦士たちに愛を込めて』のアニメーションMVなど、インパクトの強い作風で知られる大月壮氏だ。

そんなアーティストたちに丹念に作られた美しい動画は何を表しているのだろうか。動画を発表したのは、多くの海洋問題に取り組む国際環境NGOグリーンピース・ジャパン。そう、これは「混獲(こんかく)」の問題を提起するために制作されたものなのだ。「混獲」という言葉に馴染みのない人も多いかもしれない。

混獲とは、漁業において、対象とする魚種以外の生きものが一緒に捕獲されてしまうことである。グリーンピース・ジャパンによると、なんと年間16万羽のウミドリ、30万匹のウミガメが犠牲になっているという。あまり知られていないが、深刻な問題なのだ。

動画の主人公はそのウミドリである。2人のダンサーは混獲の被害を受けるウミドリを、ダンサーのまわりに積まれる漁網の山は、迫りくる捕獲の脅威を表している。

伸びやかに舞う二羽のウミドリ。しかし周囲の漁網にとらわれ、逃れようと懸命にもがくも動きが鈍り、やがて息絶えてしまう、というストーリーだ。ダンサーたちが身にまとうドレスは、実際の漁で使用された網を使って作られたものであるという。

「海の生きものの残酷な死を芸術的に表現し、アート作品として混獲の問題を提起した」というこの動画。IDEAS FOR GOODでは、これまでもアートやデザインを用いて環境問題を訴える取り組みを紹介してきた。たとえば、メキシコで開催されたアートイベント「Water is One」や、写真を用いたインスタグラマーたちの活動「#toolatergram」などである。

環境に対するわたしたち一人一人の意識向上がますます重要になってきている中、このようなアートを絡めた取り組みは、人々の目を引き、これまで興味がなかった人が環境問題に目を向けるきっかけになるだろう。今後の活動にも注目していきたい。

【参照サイト】環境問題×アート リサイクル漁網がドレスに
【参照サイト】[混獲] -Bycatch- 身近なのに誰も知らない「混獲」ってなに?
【関連記事】アートで環境問題を訴える。メキシコで開催されたアーティビズムとは?
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