フランスが18歳の文化活動のため、アプリで6万円支給。あなたならどう使う?

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ニューヨーク市が行う、図書館カードを持つ人を対象に文化施設の入場料を無料にするプログラムを以前紹介したことがあるが、より多くの人に文化に触れてもらいたいという想いは他国でも強い。文化の国フランスでは、特に若い世代に幅広い文化体験をしてもらいたいと考えているようだ。

フランスの文化省は18歳を対象に、文化活動に使うためのお金を500ユーロ(約63,000円)提供するPass Cultureというキャンペーンをはじめた。使い道は映画、コンサート、劇、書籍、楽器など、文化的なことであればかなり自由だ。500ユーロはスマホからアプリをダウンロードして受け取れる。

このアプリは、2018年6月から国内の4つの地域で試験的に導入されており、9月からは5つ目の地域としてフィニステール県も加わる。半年に渡る試験期間が終了すれば、2019年はじめからより広範囲で始動する。

若い世代にとって好ましく見えるPass Cultureだが、このキャンペーンに懐疑的な見方を示す人もいる。フランス元文化相のJack Lang氏は、同キャンペーンが人々の消費主義に拍車をかけかねないと懸念している。「このような消費主義の精神を歓迎するよりも、各施設が広く門戸を開くよう奨励するべきだ」と同氏は語る。

また同氏は、イタリアで導入された同様の取り組みが芳しい結果を残さなかったことも指摘している。Bonus culturaというPass Cultureのモデルとなった取り組みがあるのだが、このとき美術館や劇場の来場者は増えなかったという。文化的なことと関係のない商品を買ったり、アカウントを売ったりと、多くの若者は本来の目的にそぐわない使い方をしたと同氏は主張する。

このような経緯から、Pass Cultureではなにを文化活動に含めるのか疑問が生じている。現状では教科書からビデオゲームまで幅広く使えるようになっているが、文化相のFrançoise Nyssen氏は、単にモノを購入するよりも芸術体験を促進させる方法を探っているという。500ユーロがなんでも使えるお小遣いとならないよう、アプリがカバーする範囲を取捨選択することも検討している。

フランスのPass Cultureは、ニューヨーク市のプログラムと比べてどうだろうか。Pass Cultureはお金が渡されるため使い道は幅広いが、幅広すぎて単に自由に使えるお金をばらまいていることにもなりかねない。また13歳以上であれば誰でも参加できるニューヨーク市のプログラムと比べ、Pass Cultureは18歳限定だ。18歳という年齢に特別な意味があると理解するのか、それとも限定的すぎると考えるのか。あなたはどう思うだろうか。

【参照サイト】France Is Rolling Out a Multimillion-Dollar App to Give Young People Free Access to Cultural Goods and Events
【関連記事】図書館カードがあれば美術館が無料。ニューヨーク市がはじめた文化プログラム
(※画像:shutterstockより引用)

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