コンクリートから緑の遊歩道に。生まれ変わったソウルの高速道路

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都市にはオフィス街やショッピング街などいろいろな機能が詰まっていて、新しい建物ができてにぎわう一方、さびれていく一帯もある。人はどっと流れるが自然を感じることは少なく、行きかう人々の表情は少し硬い。そこで、すでに街にある機能を活かしつつ、もっと緑がまぶしい、フレンドリーな雰囲気をつくることができないかと考えた建築家たちがいた。

オランダのロッテルダムを拠点に活動する建築家集団MVRDVは、韓国の首都ソウルにSeoullo 7017 Skygardenという遊歩道を建設した。983mの長さがあるこの道は、1970年に建てられた高速道路をつくり変えたものだ。そのため写真を見ると、高速道路の形状そのままに高架になっている様子がよくわかる。遊歩道には24,000もの植物が植えられ、公園のような存在にもなっている。

Seoullo 7017 Skygardenは今年、米タイム誌のWorld’s Greatest Places 2018(世界で最も素晴らしい場所2018)でベスト100に選ばれ、たくさんの人々が訪れる楽しい雰囲気になっている。去年5月にオープンして以来、1,000万人もの観光客が訪れているそうだ。時が経ち忘れ去られていく建造物を、街の緑のシンボルに変えたいというMVRDVのビジョンが見事に実現している。

この遊歩道はもともと存在した高速道路に合わせて作られているため、この場所でしか成立し得ないという、張り巡らされた空間との調和を体験できる場所だと思う。50年ほど前に高速道路が建設されたという歴史がなければ、この遊歩道の構想もなかった。その場所の歴史や風景から新しい公共スペースのあり方を追求する姿勢は、世界でそこにしかない個性を生む。

市当局や地元のNGO団体の協力もあって集めたという多彩な植生は、構成、匂い、色のどれもが美しく存在している。柔らかな陽ざしが射す春には桜やツツジが咲き、荒々しい夏にはフルーツが実り、秋が深まれば楓の葉が色づき、冬枯れの景色のなかで針葉樹の緑が静かに光る。こうして季節がめぐり、人は刻々と足を進める。Seoullo 7017 Skygardenは、街の生活と地続きになっているクリエイティブな空間だ。

【参照サイト】MVRDV – Seoullo 7017 Skygarden
(※Photo by Nagisa Mizuno)

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