世界最大の「クルマ禁制」エリア、ベルリンに誕生なるか

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道を歩いていて、「車が場所をとりすぎている」と感じたことはないだろうか。

ドイツのレポートによると、ベルリンでは車を利用した移動が、総移動回数の33%しか占めていないにもかかわらず、駐車などで交通空間の58%ものスペースを使っているという。それに対して、自転車を利用した移動は15%を占めるが、交通空間でわずか3%のスペースしか使っていない。(※1)誰もが、公共空間を平等・公平に利用できているとは言えない状況だ。

この他にも、クルマ依存は大気汚染、騒音、渋滞、事故、CO2の排出など様々な問題を引き起こす。より歩行者と自転車に優しい街づくりが、求められているのではないだろうか。

ベルリンの市民団体「Volksentscheid Berlin Autofrei」は、同市の鉄道路線であるベルリン環状線の内側を、車の利用が原則禁止されるカーフリーエリアにしようと活動している。同団体は目標に賛同する約5万人の署名を集め、2022年1月現在、ベルリン市政府がカーフリーエリアにするための法律を導入するか検討しているという。

もしこの目標が実現すれば、世界最大のカーフリーエリアが誕生するという。同エリアでは、消防車などの緊急車両、配送車両、健康上の理由で車に頼らざるを得ないケースなどを除き、車の利用を1人あたり年12回までに制限するという案が提出されている。車を使う場合は、オンライン申請で許可を取得する仕組みだ。

大きな荷物を運びたいときや、地方に遠出したいときなどは車を使えるのは、良いアイデアだ。また、同エリアでカーシェアリングサービスを利用することも可能なため、自分の車を手放す人が増えそうだ。

こういった脱クルマの動きに対し、「公共交通を充実させないと実現は難しい」という意見が出ることがあるが、ベルリンは電車が5分おきに来る街で、車を使わずに生活することはそれほど難しくないという意見もある。

Volksentscheid Berlin Autofreiは、公共交通の更なる充実は必要だが、それだけでなく、人々が車を使う習慣を変えるための強い後押しも必要という考えを示している。

巨大なカーフリーエリアが早くに誕生すれば、公共交通を発展させる強い必然性が生まれ、インフラの整備がこれまで以上に加速するかもしれない。大切なのは、市民がどういう街にしたいのか、長期的なビジョンを持つことではないだろうか。

ヨーロッパではカーフリーな街づくりが盛んに進められており、オランダのユトレヒトやイギリスのグラスゴーは、すでにカーフリーエリアを設けることを発表している。また、パリが「自転車で15分の街」という都市計画を発表したり、バルセロナが車を手放した人を対象に公共交通機関の使用を3年間無料にしたりと、様々なかたちで脱クルマが推進されている。

こういった動きが、今後も様々な地域で広がることを期待したい。

※1 Wem gehört die Stadt? Der Flächen-Gerechtigkeits-Report
【参照サイト】 Volksentscheid Berlin autofrei

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