エシカル消費からサーキュラーエコノミーへ。ギフト・ショー「LIFE × DESIGN」で見えた新時代のトレンド

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2019年2月12日(火)〜2月15日(金)の4日間、東京ビッグサイトにて日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市「東京インターナショナル・ギフト・ショー春2019」が開催された。

同時開催の展示イベント「LIFE × DESIGN」では、『暮らし・デザイン・新時代』をテーマに最新のデザインプロダクツや住まいづくり、多様なライフスタイルに合わせたアイデア溢れる商品が並んだ。

「LIFE × DESIGN」ブース中央

「LIFE × DESIGN」ブース中央 Photo by 花田奈々

今回「LIFE × DESIGN」の中で、サステナビリティ(持続可能性)をコンセプトにした商品・サービスが集結したエリア『BIO HOTEL™️ STYLE』を中心に取材をおこなった。

今後社会のスタンダードになるであろうサステナビリティについて本気で考え、商品やサービスにそのエッセンスを取り込む企業の動向と、その想いをお伝えしていきたい。

サステナブルな先鋭企業・商品が集う『BIO HOTEL™️ STYLE』

『BIO HOTEL™️ STYLE』 ブースエリアの様

『BIO HOTEL™️ STYLE』 ブースエリアの様子

『BIO HOTEL™️ STYLE』は、「BIO HOTELS JAPAN(一般社団法人日本ビオホテル協会)」主催のコンセプトブースだ。ビオホテルは世界で唯一のホテルへの厳格なBIO基準を設ける「Die BIO HOTEL(ビオホテル協会)」の公認を受けたホテルであり、サステナビリティや人々の健康に関する課題意識が非常に高い。

展示エリア内には、BIO HOTELS JAPANの掲げるコンセプトに共感し、「豊かな暮らし」と「社会課題解決」を両立するサステナブルな商品やサービスを展開する企業17社がブースを構える。各企業のブースには、興味深く商品を手に取り、企業の話を熱心に聞く人々で溢れていた。

サステナビリティをコンセプトにした展示エリア Photo by 花田奈々

会場奥のスペースには展示エリアが設けられ、ギフト・ショー全出展企業の中でサステナビリティをコンセプトにした数々の商品が並べられていた。

いずれも「環境と人々にいいこと」を前提としながら、思わず手に取りたくなる美しいデザインで、行き交う人々の目を引いた。

Kaffeeform社のコーヒータンブラー

Kaffeeform社のコーヒータンブラー

こちらは以前IDEAS FOR GOODでも取り上げた、コーヒーのかすから作られたベルリン発のタンブラー。ほのかにコーヒー豆の香りを感じられるエコで粋なアイテム。驚くほど軽く耐久性にも長けており、その利便性の高さも魅力のひとつだ。

kinokotoの「炭のショコラ」

kinokotoの「炭のショコラ」

チョコレート……? と思いきや、炭でできたアロマというのだから驚きだ。森の環境を整えるため間引きされた間伐材を原料にセラミック炭を成型。チョコレート型にアレンジしたことで、日々の生活に取り入れたくなるユニークなアイテムへ見事に生まれ変わっている。サステナビリティをコンセプトにした商品において、一般の人も日常に取り入れやすい商品づくりが鍵になるのだろう。

エシカル消費からサーキュラーエコノミーへの転換

BIO HOTELS JAPAN代表理事・中石和良氏

BIO HOTELS JAPAN代表理事・中石和良氏

『BIO HOTEL™️ STYLE』の主催であるBIO HOTELS JAPAN代表の中石和良氏にお話を伺うことができた。今回の展示では「サステナブルなライフスタイルを提案すること」はもちろん、「サーキュラーエコノミー」の概念に共感してくれる企業・人を増やす狙いがあったそうだ。

サーキュラーエコノミーとは、資源や製品が生産から廃棄までの間に“循環”していくよう根本から社会経済のあり方を見直し、環境問題の解決と同時に経済成長や雇用創出の実現を目指す概念だ。

ハーマンミラーの展示

ハーマンミラーの展示

会場後方の壁には、サーキュラーエコノミーに関する説明や活動事例が描かれている。事例のひとつとして、オフィスチェアの会社として有名なハーマンミラーが取り上げられていた。ハーマンミラーでは製品の設計時から、その役割を終えたときに再利用のため解体できるかどうかを考慮しているのだ。

壁面の解説では、サーキュラーエコノミーを“過去250年にわたる資本主義の歴史における、最大の革命”と形容している。

BIO HOTELS JAPANが手がけるプロダクツ

BIO HOTELS JAPANが手がけるプロダクツ

サーキュラーエコノミーは、近年ようやく日本にも浸透してきた「エシカル消費」とはどう異なるのか。中石氏によると、サーキュラーエコノミーにおいてはその商品を「日常的に使いたくなるか」という視点が重要だという。

「従来品と機能性や価格、デザインが同じものを作ることができるかがポイントです。たとえ商品の機能性やデザインが劣っていても『これはエコだから』というエシカル的な消費を強制してしまっては、その消費行動は長続きしません。『商品自体を気に入ったから』手にとってもらう。裏のストーリーを知ってもらうのは、手に取ってもらってからでいいんです。」 

企業としてはいかにその商品が環境にやさしいかをアピールしたくなるところだが、まずは生活者に「使いたい」と思ってもらえなければ何も始まらない。最初のステップを生み出す工夫こそ、サーキュラーエコノミーを浸透させる鍵と言えるだろう。

ヨーロッパではすでに国の戦略としてサーキュラーエコノミーを取り入れている。これからの経済活動に大きなインパクトを与えることは明白だが、日本ではまだまだ浸透していないのが現状だ。

「ここに来た方には、オーガニック・ナチュラルという範疇から『サーキュラーエコノミー』という次のステージへステップアップしてもらいたいです」と中石氏は語る。

サーキュラーエコノミーに貢献する企業

最後に、本イベントに出展した企業の中から、サーキュラーエコノミーに貢献している商品およびサービスを3つご紹介したい。

米ぬかを使ったライスインク / 株式会社相互

株式会社相互の展示ブース

株式会社相互の展示ブース

株式会社相互は印刷業を主軸としている企業だ。日本で唯一の竹パルプ100%を原料とした竹紙や、米ぬかの油から作られたライスインキの使用を提案するなど、環境に配慮した活動を積極的におこなっている。米ぬかはこれまでほとんど廃棄処分されてきたが、ライスインキとして蘇らせるとともに、100%国内で調達することで輸送マイレージ、CO2の排出削減に貢献しているそうだ。

なぜ、印刷会社がサーキュラーエコノミーに取り組むのか。株式会社相互の川本氏は「『お役に立ちたい』という企業理念のもと、お客さんにも環境にもしっかり責任を果たしたいと考えています。印刷業界にありがちな価格勝負や、ただ間違いがなければいいという発想はやめて、本当にいいものを作らないといけません。」と語る。

華密恋のプロダクト

華密恋のプロダクト

また、同グループでは国産有機カモミールを使用した化粧品ブランド「華密恋」の販売や、日本初のBIO HOTELS認証を受けた長野県のビオホテル「八寿恵荘」の運営をおこなっている。印刷事業にとどまらず、環境に配慮した事業を拡大するユニークな企業だ。

人と環境にやさしい建築リノベーション / Re × S(リ・バイエス)

Re × S(リ・バイエス)の展示ブース

Re × S(リ・バイエス)の展示ブース Photo by 花田奈々

国産の木と土を使った家づくりを展開する株式会社アトリエデフでは、2018年に新たにリノベーション事業「Re × S(リ・バイエス)」を開始した。コンセプトは「サステナブルなリノベーション」だ。

空き家が増え続ける日本では、家屋を壊す際に大量のエネルギーを消費し、また大量のゴミを出している。この課題に立ち向かうため、Re × Sは環境負荷の少ない国産の自然素材を使って古い建物を修復し、循環型のリノベーションに力を入れている。

環境と人間にやさしい建築素材

環境と人間にやさしい建築素材 Photo by 花田奈々

Re × Sによってリノベーションされた建物は環境にだけでなく、人間にもやさしい。リフォーム事業部の小島氏によると、改装前は室内でアレルギー反応が強かった人が、改装後にその症状が治まった事例もある。その理由のひとつとして、有害な化学物質が発生する可能性をなくすため、家屋の素材に安全性が高い国産の無垢材や土を使っていることが挙げられる。

現在は長野県内の建物をリノベーションすることが多いそうだが、今後は東京都内での展開を強化していきたいと考えている。「自然との距離が遠い東京だからこそ、昔ながらの自然素材を使った家づくりが必要だと考えています。持続可能な社会を作っていくためにも、家という身近な場所から豊かな自然を感じてほしいです。」

電気も選べる時代へ / みんな電力

みんなの電力・間内さん

みんなの電力の展示ブース Photo by 花田奈々

環境にやさしい“商品”が多く並んだブースの中で、一際目を引いた企業が「みんな電力」だ。全国各地の再生可能エネルギー由来の電気を供給し、企業や個人の再生可能エネルギーの利用拡大を目指している。電気料金の削減だけでなくサステナビリティを通じたイメージの向上など、導入企業側のメリットも大きいようだ。

みんな電力の大きな特徴は、「顔の見える電気」である。生産者の顔がわかる「顔の見える野菜」と同じように、電気の生産者の顔や、電気の作り方、作った場所などを見える化している。さらにブロックチェーンを活用した電力取引プラットフォームを開発し、発電源が特定された電力の供給を可能にした。誰もが電気を選べる時代になっているのだ。

編集後記

今回「LIFE × DESIGN」の展示を通して、“エシカル消費からサーキュラーエコノミーへの転換”という大きな時代の転換点に立ち会えたように感じられた。

日本では、サーキュラーエコノミーという概念の浸透に時間がかかってしまうかもしれない。だからこそ、消費行動において「気に入って購入した商品やサービスが、“実は”環境にやさしかった」という順序が適しているとも言えるだろう。

環境や人にやさしい商品をつくり、いかに経済活動の発展に繋げるか。今後企業にとっては一層重要な視点となるはずだ。

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