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サステナビリティとは・意味

サステナビリティとは

サステナビリティ(サスティナビリティ)とは、「sustain(持続する、保つ)」と「-able(~できる)」を組み合わせた言葉で、日本語で「持続可能性」を意味する。

これは、環境や社会、人々の健康、経済などあらゆる場面において「将来にわたって機能を失わずに続けていくことができることシステムやプロセス」を指す。つまり、目先の利益やパフォーマンスを追求するのではなく、物事の長期的な影響を考えて行動することが求められる。

たとえば、生態系の荒れた海で漁業をしたり、枯渇するエネルギーを無駄に使い続けたり、森林が再生するよりも速く伐採したりすることは持続可能ではない。より環境が再生し続けられるようなシステムを使って事業を行おうというのが、サステナビリティの考え方である。

サステナビリティの起源

サステナビリティの概念は比較的新しいアイデアであるが、社会的公正や自然保護主義、国際主義など豊かな歴史を持つ過去の運動に根ざしている。20世紀末には、これらの考え方の多くが「持続可能な開発」の呼びかけに集約されるようになった。

サステナビリティはもともと、1987年に環境と開発に関する世界委員会(WCED=World Commission on Environment and Development)が発表した報告書「Our Common Future」の中で「Sustainable Development(持続可能な開発)」の中心的なキーワードだった。

WCEDは、1983年に国連がノルウェーの元首相グロ・ハーレム・ブルントラント氏を指名し、設置されたことから「ブルントラント委員会(Brundtland Commission)」とも称される。

ブルントラント委員会は1987年までの約4年間で合計8回の会合が開かれた。工業化によって生活水準を向上させようと何十年も努力してきたにもかかわらず、多くの国々が極度の貧困に直面しており、生態系の健全性や社会的公平性を犠牲にした経済発展は長期的な繁栄にはつながらないことが明らかだった。環境保護と社会的・経済的な繁栄を調和させる方法を見つける必要がある中、ブルントラント委員会は最終報告書「Our Common Future」を発表した。

その中で、サステナビリティは以下のように定義された。

持続可能な開発とは、将来の世代が自らのニーズを満たす能力を損なうことなく、現在のニーズを満たす開発である。

つまり、私たちは環境や社会への影響を最小限に抑えながら、経済的な発展や社会的な進歩を達成しなければならない。サステナビリティとは、生態学的、社会的、経済的側面を考慮した総合的なアプローチであり、永続的な繁栄を見出すためには、すべてを一緒に考える必要があることを示している。

ブルントラント委員会が示したサステナビリティの定義は、その後の地球環境保全に関する取組の重要な道しるべとなった。

その後、1992年の地球サミットを経て世界的に広がりを見せ、2015年にはSDGs(持続可能な開発計画)が採択されるなど、ますます重要性が認識されるようになった。現在は、形容詞としての「サステナブル」がさまざまな広告・メディアで使用されているケースが多い。

サステナビリティとSDGs、CSRの違い

サステナビリティに関連するキーワードとして「SDGs(持続可能な開発目標)」と「CSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)」がある。

SDGsは2015年に国連サミットで採択された持続可能な開発のための国際目標であり、具体的なテーマが17の目標と169のターゲットとして設定されている。

CSRは直訳すると「企業の社会的責任」である。企業が利益至上主義を追求するのみならず、顧客や従業員、取引先、その他全てのステークホルダーに対して責任を果たすために、戦略を持って自発的に行動を起こすことを指す。

サステナビリティの3つの柱

サステナビリティには、経済発展、社会開発、環境保護の3つの柱がある。

経済発展では、将来にわたって健全でパフォーマンスを失わずに利益を出し続けることや、環境や社会に配慮した企業の行動が求められる。

社会開発では、すべての人が普遍的な人権と基本的な生活必要物資にアクセスすることができ、家族や地域社会、コミュニティを健康で安全に維持するために十分な資源を利用することができることが求められる。また、健全なコミュニティには、人権や労働・文化の権利が尊重されるようにする指導者の存在や、すべての人が差別から守られることが求められる。

環境保護では、生態系の健全性を保つことが求められる。加えて、自然環境から得られる資源を私たちが消費する際には、資源を枯渇させない、自然の物質循環が行われる速度で消費すること、地球環境のバランスを保つことが求められる。

サステナブルな取り組みの具体例

サステナビリティの3つの柱において、どういった行動がサステナブルと言えるのか、具体例は以下の通りだ。

経済開発(Economic Development)

  • 将来にわたって健康で、パフォーマンスを失わずに利益を出し続ける(サステナブル経営)
  • 自社が行う環境のため、社会のための行動を打ち出す(サステナブルマーケティング)
  • 環境や社会に配慮した企業に投資する(サステナブル投資)

【関連ページ】環境・社会・ガバナンスに着目する投資、ESG投資とは?

社会開発(Social Development)

  • 子供たちの将来の力になる教育(サステナブル教育)
  • 旅行先の文化や環境を尊重し、損なわない観光業(サステナブルツーリズム)
  • 作り手の労働条件や健康まで配慮したアパレル(サステナブルファッション)

環境保護(Environmental Protection)

  • 海の生態系を損なわない方法で調達された海産物(サステナブルシーフード)
  • 再生可能で将来のポテンシャルがあるエネルギー(サステナブルエネルギー)
  • 環境への負荷を考慮した生活(サステナブルライフ)

企業によるサステナブルな取り組みの具体例

世界的な飲料メーカーであるコカ・コーラ社は「多様性の尊重」「地域環境」「資源」という3つのプラットフォームを設定し、それぞれに具体的な目標を定め、サステナブルな取り組みを実践している。

「多様性の尊重」においては、2030年までに女性管理職比率50%というグローバル目標を設定し、2020年12月時点で女性社員比率42.2%、2021年3月時点で女性管理職比率32.7%を達成している。「地域環境」では、災害時に飲料提供協力ができるよう、地域の公共施設や病院などに地域貢献型自動販売機を設置。災害時などには本体に残った飲料の無料提供が可能になるほか、遠隔操作によって自動販売機の電光掲示板に災害情報を流すなどの取り組みが行われている。「資源」ではペットボトルからラベルをなくした「ラベルレスペットボトル」を導入し、プラスチック資源の使用量の抑制などに取り組んでいる。

スウェーデン発祥の家具メーカーIKEA(イケア)は、2030年までに再生可能素材またはリサイクル素材のみを調達するという目標を掲げており、2021年にはイケアが調達した原材料のうち、再生可能素材は55.8%、リサイクル素材は17.3%を達成している。そのほかにも、充電できない従来のアルカリ電池の販売を終了し、充電式電池に切り替える、21年度には世界中でイケアが運営するすべての工場、梱包部門、配送部門で再生可能電力使用率100%を達成するなど、サステナブルな取り組みを精力的に行っている。

個人でできるサステナブルな取り組み

サステナブルな取り組みはもちろん個人でもできる。

節電や省エネを意識することはサステナブルな取り組みの一つだ。電気や水道、ガスなどのエネルギーや資源には限りがあることを意識して行動してみよう。具体例は以下の通りだ。

  • 水道は出しっぱなしにしない
  • 使っていない電気はこまめに消す
  • 天気の良い日には乾燥機は使わず、自然乾燥させる
  • 夏は涼しい格好、冬は暖かい格好をして、エアコンの温度を下げすぎたり、上げすぎたりしない

ほかにも、再資源化される割合の低い衣服の廃棄による環境負荷を避けるため、むやみに新しい洋服を買い足さない、今持っている洋服を長く大切に着る、リユース・レンタル・シェアを活用してファッションを楽しむことも個人でできるサステナブルな取り組みだ。

▶️ 今日からできる、ファッションをもっとサステナブルにする50のヒント

食の分野も同様だ。農林水産省及び環境省の令和2(2020)年度推計値によると、日本では年間522万トンもの食品ロスが発生している。これは毎日1人あたりお茶碗1杯分もの食品が捨てられていることになる。食品ロスを出さないためには、必要以上に食材を買いすぎない、食べられる量だけ調理する、食べ切ることが大切だ。買い物をする前には冷蔵庫などの食材を事前に確認し、本当に必要な分だけを買うように心がけたい。外食時には食べ切れる量だけを注文することを心がけ、小盛りやハーフサイズを活用したり、万が一食べ切れなかった場合にテイクアウトが可能な店を選んだりしてほしい。

▶️ 食習慣から商品を選ぶ基準まで。エシカルな食生活をするための50のヒント

企業のサステナブルな取り組みを支援することも個人でできる取り組みの一つだ。何か製品やサービスを購入する際には、企業がどのような取り組みを行っているか、ぜひ一度確認してみてほしい。

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【参照サイト】ブルントラント委員会 – 環境用語集
【参照サイト】What is sustainability?
【参照サイト】サスティナブルな取り組みとは?企業・個人の具体的な事例を紹介 (マイコークストア) – コカ・コーラ公式通販サイト
【参照サイト】イケアのサステナビリティ戦略|IKEA【公式】
【参照サイト】サステナブルな暮らしとは?私たちにできること・生活の具体例を紹介|Y media|ヤンマー
【参照サイト】食生活をサステナブルに!食品ロスについて考えよう【栄養だより2022年8月号】

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