本当の幸せって、なんだろう。
できることなら、みんなでハッピーになりたい。
始まりはちいさな選択だとしても
巡りめぐって、誰かが笑顔になるかもしれない。
世界を、ほんの少し変えられるかもしれない。
だって、世界は「私たち」なのだから。さぁ、あたらしい私が、始まる。
この凛としてやさしいメッセージは、シチズン初のソーシャルキャンペーン「New TiMe, New Me」で発信されているものだ。シチズン時計株式会社は「日常での選択が世界をほんの少し変えうることを知ってもらい、小さなアクションを起こすきっかけをつくりたい」との想いからキャンペーンを立ち上げたのだという。
キャンペーン開始を記念して、4月上旬に2日間限定のPOP-UPイベントが開催された。今回、編集部はイベント内覧会に参加し、イベントの展示コーナーで紹介されていたSDGsへのシチズンの取り組みについて、宣伝部の落合瞳さんとCSRプラクティショナーの山田富士子さんに詳しくお話を伺ってきた。
2日間のイベントでは、SDGsへのシチズンの取り組みを紹介する展示やSDGsに自分らしく取り組めるきっかけを見つけるワークショップ、トークセッションなどが行われたほか、「壊れても買い換えるのではなく、修理しながら大事に使い続けてほしい」との想いからシチズンの時計製品のメンテナンスコーナーが用意されていた。
会場を飾るドライフラワーは、ウェディングブーケなどで一度使用した生花をリサイクルしたもの。チップ材をリサイクルした展示ボードやバナナの木からできたペーパーを使用するなど、随所に「イベント自体をサステナブルにしよう」という工夫が感じられる。
展示コーナーでまず目に入ってきたのは、環境への取り組みを紹介するパネルだ。
このパネルについて、宣伝部の落合瞳さんは「シチズンといえば、太陽光や室内のわずかな光で発電する独自の技術「エコ・ドライブ」。電池交換の手間がないだけでなく、使い捨て電池を必要としないので環境にもやさしいんです。シチズンが1年に出荷するエコ・ドライブ搭載時計と同じ数だけ電池を積み上げていくと、エベレストに届くほどの高さになるんですよ」と語る。
シチズンの環境問題に対する取り組みの中心となる、エコ・ドライブ技術。一方、「社会課題への取り組みの柱」となってきたのは、2つのシリーズである。可愛らしいデザインで女性人気の高い「シチズン クロスシー」、そして環境や人権に配慮したエシカルなモノづくりにこだわった「シチズン エル」だ。
「シチズン クロスシーは『前を向いて頑張っている女性を応援する』ブランドで、売り上げの一部を国際NGOプラン・インターナショナルの『Because I am a Girlキャンペーン』という途上国の女の子を応援するプロジェクトに寄付を続けています。
シチズン エルは、『エシカルなモノづくり』をしているブランド。表面を飾る外側の美だけでなく、環境や社会への想いやりをもつ『内側の美』こそが本当の美しさと考えています。5つのエシカルコミットメントを掲げ、成分表を公開する、時計を作る過程で排出したCO2量を公開する、紛争鉱物を使わないDRCコンフリクトフリーを宣言する、などの施策を行っています。」と落合さん。
長年、様々な部署でシチズンのソーシャルグッド活動を牽引してきた山田富士子さん(現CSRプラクティショナー)は、ここ数年で「環境・社会問題に配慮した製品」へのニーズがより強く感じられるようになった、と語る。
「そんな今だからこそ『エシカルなモノづくり』という価値観をもっと広く発信すべきだと思いました。『シチズン エル』の立ち上げやエコ・ドライブ技術の開発、寄付活動など、シチズンではこれまでにもソーシャルグッドな取り組みを行っていたのですが、SDGsを全面に押しだしたソーシャルキャンペーンを行うのは今回が初めてです。」
さらに山田さんはこう続ける。
「個人的には、日本の工業製品であり、かつ身に着けられる―そんな『時計』をつくる企業がエシカル消費やSDGsについて考えるきっかけを発信することに大きな意味があると思っています。ファッションの一部でもある時計ですが、洋服のように頻繁に買い替えるものではないですよね。人生の節目に買ったものを長く大切に使うという人が多いのではないでしょうか。そうそうあるわけではない特別な機会だからこそ、製品の背景にまで目を向け、想いを込めて選んでほしいと思うのです。丁寧に選んだ──しかも自分以外の誰かの力になっている時計。自分の手元がふと目に入るたび、地球や遠くの誰かに想いを馳せられるって、素敵なことだなって思いませんか?」
編集後記
取材中、山田さんは「キャンペーンを通して、誰かが何かに気づく『きっかけ』を提供できたらいいな」と語ってくれた。例えば、シチズンエルのDRCコンフリクトフリー宣言を知った人が「これまで自分が着けていた時計には、紛争鉱物が使われていたのかもしれないな」とハッとしてくれたら──それだけですぐに世界が変わるわけではないが、それがより良い世界づくりに向けてのちいさな一歩であることには変わりがないのだ。「会社として」誰かのために大々的な声を上げること、世界をより良くするムーブメントを起こすこと。それは、企業が存在する大きな意義なのではないだろうか。
これからどんなふうに、日本のモノづくりをリードしていくのか。今後のシチズンが楽しみである。
【参照サイト】「New TiMe, New Me」キャンペーン公式サイト
【参照サイト】「CITIZEN L」ブランド公式サイト
【参照サイト】「CITIZEN xC」ブランド公式サイト
【参照サイト】シチズン時計株式会社