街に暮らす人々に、リサイクルの習慣をつけてもらうにはどのような方法が効果的だろうか。一つは、リサイクルによる経済的なインセンティブをもたらすことだ。IDEAS FOR GOODでは以前、インドネシアでペットボトルとバスの乗車券の交換ができる取り組みがあることをご紹介した。
ところ変わって、イタリアのローマでは、空のペットボトルと引き換えに地下鉄の乗車券が割引される「Recicli + Viaggi(イタリア語でリサイクル+トラベル)」という試みがあることをご存じだろうか。
サン・ジョヴァンニ駅とチプロ駅、そしてピラミデ駅というローマの3つの地下鉄駅にリサイクルマシンを設置し、利用者が一つペットボトルを入れると、乗車券を買うアプリ上で5セントの「エコボーナス」と呼ばれる割引が適応される。このボーナスは貯蓄でき、使うタイミングはいつでも良いようだ。本スキームでは、2019年7月以来、すでに35万本のボトルがリサイクルされており、2020年7月まで市内の他の駅にも活動を広げることとなった。
今夏のローマでは、焼け付くような太陽の下で、路上にゴミが積もる緊急事態に陥った。市内の主要な埋立処分場と2つの処理施設が閉鎖され、廃棄物請負業者は、ローマのゴミの半分の行き場所がないと嘆いた。そこで始まったのが、「Recicli + Viaggi」だったのだ。
イタリアは、一人当たりのボトル入り飲料水の消費量が188リットル(2017年)と、ヨーロッパ諸国で最も多い。つまり、空きボトルも一番多く発生しているということだ。暑い気候も影響しているが、他の南ヨーロッパの国と比較しても突出している。
「すべての道はローマに通ず」といわれた古代ローマの首都。ヨーロッパの成り立ちに大きな影響を与えた、その繁栄を物語る遺跡が現在も残り、多くの人々が訪れる。現代の環境にやさしい画期的なトラベル・システムで、永遠の都と称されるローマの歴史的な遺構を巡る休日も、風情がありそうだ。
【参照サイト】myCicero near ATAC in the project “+Ricicli +Viaggi”
【参照サイト】World Economic Forum
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