2050年までに海洋プラスチックごみの流出をゼロにする。2019年6月に行われたG20大阪サミットでは、これが世界共通の目標として共有された。日本政府は、早ければ2020年4月にスーパーやコンビニなど全業種の小売店でレジ袋の有料化を義務付ける省令改正の施行を目指している。
そんな中、アウトドアブランドのパタゴニア日本支社は2020年4月1日から、全国にある直営店全22店舗で持ち帰り袋を全廃すると発表。同社は環境に与える悪影響を最小限に抑えるため、1981年の日本第1号店のオープン以来、持ち帰り袋は再生紙100%の袋を使用し、さらにはオーガニックコットン製キャンバスバッグの販売を通じてマイバッグの持参を奨励してきた。
また2007年からは、レジ袋が必要な顧客に対し、海外の工場出荷時に製品を梱包するLDPEプラスチックのリサイクル原料を100%使用した持ち帰り袋「デポバッグ」を提供してきた。これはデポジット制レジ袋で、何度も使用して循環させることでゴミを増やさない工夫をしてある。
今回、パタゴニアは単に袋を有料化するのではなく、デポバッグを含む持ち帰り袋を全廃し、完全にマイバッグの持参の促進に踏み切った。上記の取り組みを通じて、すでに顧客の83%がマイバッグを持参しているからこその決断である。
ただ、どうしても持ち帰り袋を必要とする顧客もいる。これに対応するため、同社は各家庭で使用されずに眠っているエコバッグを循環、共有する仕組み「エコバッグ・シェアリング」を4月1日に開始する。それに伴い、2019年10月から各直営店で顧客に対して利用していないエコバッグの提供を呼びかけ、回収を始めている。
製品にリサイクル素材を使用し、スキーウェア修繕ワークショップを行う等、環境保護の取り組みを積極的に行うパタゴニア。グローバルな環境規制に対応して重い腰を上げるのではなく、規制内容よりもさらに厳格な方針を打ち出し、社会の一歩先を走り続けている。