英国のコンベトリー市で、世界で初めてとなる空飛ぶクルマのための空港「Air-One」がオープンした。
同空港は、空を使って人や物を輸送する「都市型航空交通」の実証実験として、韓国のヒュンダイ社と英国コンベトリー市議会が協賛し、英国のアーバンエアポート社によって開発されたもの。ただし今回はあくまでデモンストレーションとしてのオープンで、オープン期間は1ヶ月間のみとなるそうだ。
近年、都市の交通渋滞やそれに伴う大気汚染が深刻化するなか、電動車両での空を使った移動を実現することにより、その問題を解決しようとする動きが進んでいる。それらは「都市型航空交通」と呼ばれ、主な輸送手段として「eVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing)」と呼ばれるモビリティの開発が各国で進んでいるという。
eVTOLは直訳すると「電動垂直離着陸機」という意味で、ヘリコプターのように垂直に離着陸するため、滑走路などの大がかりな設備を必要としない特徴を持つ。ロンドン・タイムズのレポートによると、eVTOLは「ヘリコプターよりも静かで、軽く、安価で、環境にやさしい」という。実際、従来の航空機のようにCO2を排出しないことが特徴だ。
英国ではまだ有人のeVTOL機は実用に至っていないが、各社が開発を進めているそうだ。
今回オープンした「Air-One」は、eVTOL機向けの空港となる。アーバンエアポート社の創業者であるリッキー・サンドゥ氏は、世界経済フォーラムの記事で次のように語っている。「車には道路が、電車にはレールが、飛行機には空港が必要なのと同じように、eVTOLにはAir-Oneが必要です。Air-Oneは、都市におけるクリーンな航空輸送を実現し、空中の世界をゼロエミッションモビリティに解き放つのです」
リッキー氏はアーバンエアポート社の公式ページで、次のようにも語る。「将来的には、交通は三次元で行われるようになり、車両用道路の必要性は減少するでしょう。そうすれば、通りはもっと緑に溢れ、今よりずっとクリーンで安全な、環境にも歩行者にも優しいものになるはずです。また、道路を走る車の多くはシェアされるようになり、個人が車を所有する必要性もなくなっていくことでしょう」
都市型航空交通及びeVTOL機の発展は、都市の渋滞や大気汚染を改善するための切り札とも言える存在だ。現在、NASAも電気飛行機「X-57 Maxwell」をテスト運転するなど、航空機の可能性は無限に広がっている。
新たな法律の整備など、壁もまだまだ多いが、SFで描かれてきたクルマが空を飛び交う社会が実現する日も、そう遠くないかもしれない。
【参照サイト】 Urban-Air Port
【参照サイト】 The World’s smallest airport
【参照サイト】 The UK is building the world’s first airport… for flying cars
【参照サイト】X-57 Maxwell – NASA
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