世界のソーシャルグッドなカフェ・レストラン7選【2022年の最注目アイデア】

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あなたは、どのような目的でカフェやレストランに行くだろうか?

友達と近況報告をするため、リモートワークをするため、コーヒー片手にゆっくりと読書をするため、はたまた、いつもいる店員さんと話をするために行く人もいるかもしれない。そんな多くの人が自由気ままに過ごせるカフェの中でも、ちょっと面白くて社会にも良い飲食店が世界にはたくさんある。

人と人をつないだり、普段話せない話題を口にできたり、大人になっても思いきり遊べたり……行く人がユニークな体験をできる、さまざまなカフェアイデアをご紹介する。

世界のソーシャルグッドなカフェ・レストラン7選

01. 近くの人との助け合いを促進するカフェ

ご近所と繋がりたい人に。飲食代の代わりに「人を助ける」ことを約束するカフェ


イギリスのホームセキュリティ会社のRingが発表した調査によると、パンデミックに伴うロックダウン中、近所に住む人同士の自発的な助け合いが生まれ、ロックダウンの制限が解除されてからも、多くの人が隣人への愛着が向上。また回答者の32%が、地域社会で新しい人脈を得ることや、近所の人とのコミュニケーションの場として、地元のカフェを利用したいと考えていることが分かったという。

そんななか、同社が期間限定でロンドンにオープンしたのが、近くの人との助け合いを促進するカフェ「NeighbourGood Café(ネイバーグッド・カフェ)」だ。このカフェでは、飲食代を支払う代わりに「近所の人を助ける」ことを約束する仕組みになっている。カフェの商品と交換できる善行は、日曜大工やガーデニングから隣人の買い物や犬の散歩まで、幅広く受け入れられるという。

身近な人との交流を盛んにし、結果的に周辺地域の安全性も守られるという良い循環も生んでいる、まさにネイバーグッドなカフェだ。

02. 注文に時間がかかるカフェ

スタッフは全員吃音持ち。若者の挑戦を後押しする「注文に時間がかかるカフェ」


「注文に時間がかかるカフェ」は、スタッフ全員が吃音者(話し言葉が滑らかに出ない発話障害を持つ人)のカフェだ。日本全国の大学や企業など、さまざまな場所でポップアップを行っており、接客業に挑戦したいと思っていながらも、「吃音があるため一歩を踏み出しにくい」と感じている若者たちが挑戦できる機会を提供している。

吃音を持つ若者がやりたいことを諦めずに生きる勇気を得たり、「悩んでいるのは自分だけではない」という安心感を得たりすることができるだけでなく、吃音を知らない人に吃音当事者のことを知ってもらうきっかけの場所にもなっている。

03. 大人のウェルビーイングを高めるLEGOカフェ

ストレスを忘れて遊べる、大人のための「LEGOカフェ」ダブリンに登場


大人が遊ぶ楽しさを再発見し、ウェルビーイングを高めることを目的につくられた、大人のための「LEGO Brick Café」。来店する人から寄付金を募り、メンタルヘルスの慈善団体であるに寄付をする形で運営されており、1人当たり10ユーロ(約1,400円)で、カフェで1時間ほど楽しめる。

おもちゃで思いきり遊んで自発性や創造性を高めたり、マインドフルネスに関するワークショップに参加したりすることで、幸福度を上げることができる空間になっている。

  • 国名:アイルランド
  • カフェ(レストラン)名:LEGO Brick Café
04. 真面目なことを話しても引かれないカフェ

政治から社会運動、宗教まで。タブーのない空間で「もやもや」話せる広島のカフェ


温かな木のぬくもり感じられ、たくさんの本が並ぶ店内。メニューには、地産地消やオーガニックにこだわった食べ物や飲み物が並んでいる。そんな広島にあるSocial Book Cafe「ハチドリ舎」は、ただのこだわりあるカフェではない。「真面目なことを話しても引かれない」ことをコンセプトに、オーナーの安彦さんが立ち上げたこのカフェは、訪れた人が話したいことを自由に話すことができる場所だ。

ここでは、広島の原爆証言を伝える語り部の方によるイベントから、ジェンダー、政治、気候変動まで、さまざまな社会課題をテーマにしたイベントが月の半分以上開催されている。一人でゆっくり過ごしたい人から、話を聴いてほしい人まで、幅広い人々が集う空間が広がっている。

05. 気候不安を感じる人同士が話せるカフェ

環境問題への不安を共有し、仲間を作ろう。誰でも開催できる「気候カフェ」


「人々の不安な気持ちをアクションに変えるような場づくり」をコンセプトに生まれた「Climate café(気候カフェ)」。ここは、環境問題や気候変動について不安な感情を抱えていながらも、身近に不安を共有できる仲間がいなかったり、家族や友人にはなかなか理解してもらえなかったり……孤独を感じる人が不安を口にし合えるカフェだ。

Climate caféは、2022年に行われたCOP27に合わせて、ロンドンを皮切りに世界中のさまざまな町のカフェや公園、オフィスなどで期間限定で開催。同じ想いを持った人たちとつながることで、新たなアクションが生まれるきっかけになる場所となっている。

  • 国名:イギリスなど
  • カフェ(レストラン)名:Climate café
06. 暗闇の中で食事ができる不思議なレストラン

真っ暗なレストランで食事したら、多様性がみえてきた。パリの「Dans le Noir?」訪問記


2004年にフランスで生まれ、現在では7か国11都市で展開されている「Dans le Noir?」は、完全な暗闇の中で、視覚障害のある人たちによるガイドチームに導かれながら食事をするレストラン。ここでは、3つのユニークな「感覚的」「社会的」「人間的」な経験を提供することが掲げられている。

日常の視覚を中心とした感覚から離れて、味覚、食感、香りなどから食を違った角度から捉えることができる体験、ゲスト同士のつながりを促進するより本質的なコミュニケーション。また、自身の目となり何もわからないところから導いてくれる目の見えないガイドの存在は、多様性を考えるきっかけになる。

いつも行う「食事」という行為もひとたび暗闇の中で行われることで、私たちの感覚は研ぎ澄まされ、さまざまな問いが生まれてきそうだ。

  • 国名:フランス
  • カフェ(レストラン)名:Dans le Noir?
07. 食品も家具も捨てないレストラン

食品も家具も“勿体ない”から。スウェーデンの「とにかく捨てない」レストラン


スウェーデンのストックホルムにオープンした日本食レストラン「Enjoy Bazaar」。ここでは、環境に配慮された創作料理が提供されているのに加えて、カトラリーから家具に至るまで、店内のほぼすべてのものがリサイクル素材でつくられている。たとえば、魚網と木材繊維をリサイクルして3Dプリンターで作られた椅子は、使い古された後も壁面パネルや新たな椅子に生まれ変わる。

地球上で最も絶滅の危機に瀕している海洋生態系の1つである昆布を模したマリンテイストのコレクションなど、環境保護や生物多様性の保全に光を当てていながら、スタイリッシュでユニークなデザインの店内。食品だけでなく、スプーンやフォーク、食器、テーブルなど、身近なモノの「素材」の持続可能性について考えるきっかけを与えている。

  • 国名:スウェーデン
  • カフェ(レストラン)名:Enjoy Bazaar

まとめ

いかがだっただろう。訪れてみたいカフェやレストランはあっただろうか。食事や飲み物を楽しむだけでなく、さまざまな人々の「居場所」となっているカフェやレストランは、いま少しずつ増えてきている。

訪れる人に豊かな時間を提供してくれるユニークな飲食店は、今後もますます多くの人に幸せをもたらしてくれるだろう。あなたも来年は、その一部になってみてはどうだろうか。

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