ヘビーメタルバンドに対して、どういう印象を持っているだろうか。派手なメイクなど過激な表現に目を奪われがちだが、優れた教育者として表彰されるバンドも登場している。
2023年1月、Swedish Skeptics AssociationというスウェーデンのNPOが、同国出身のヘビーメタルバンド「Sabaton(サバトン)」を、2022年の優秀教育者として表彰したと発表した。これまで、学者やジャーナリストなどが同じ賞を受賞してきたという。
Årets folkbildare och Årets förvillare 2022 har utsetts! https://t.co/BKrbQHpHgA
— VoF (@SwedishSkeptics) January 10, 2023
Sabatonの受賞理由は、歴史的な出来事を曲にし、人々が歴史に興味を持つきっかけを作ったことだ。たとえば、1600~1700年代のスウェーデンの強国時代や、第一次世界大戦についての曲を出している。第一次世界大戦についての曲では、戦場の兵士の気持ちや、舞台裏で行われた政治的駆け引きなど、異なる角度から見た戦争が表現されている。
同バンドは、可能な限り正確な情報をもとに曲を作るため、歴史の専門家の協力を得ているそうだ。国によって歴史認識が異なることや、新しい発見により歴史の定説がくつがえされる場合があることも発信している。誠実に歴史と向き合う彼らの様子は、音楽シーンにおいて際立っているという。
架空の世界を楽しむつもりで聴いた曲が、実際の歴史に基づいていると知ったら、新しい音楽体験をしたような感覚に捉われそうだ。「もっと歴史を知りたい」という学習意欲が湧くかもしれない。楽しい音楽体験が、次の行動に結びつくと良い。
Sabatonのメンバーであるパル・スンドストロム氏は、ニュースリリースで、「私たちが作っているのは、ただのメタル音楽ではありません。私たちは中立的な立場から、世界の紛争をめぐるストーリーを鮮やかに表現しています」と語っている。
芸術的な表現と体系的な教育機会を組み合わせた、Sabatonの今後の活動が楽しみだ。「意外にもあの人が、社会的事象に関心を持っている」というサプライズ感が、ソーシャルグッドな活動を盛り上げるかもしれない。
【参照サイト】Enlightener of the year 2022 – Vetenskap och Folkbildning
【参照サイト】Sabaton receives The Swedish Skeptics Association’s prestigious “Enlightener of the Year Award 2022”
【関連記事】英バンドColdplay、「気候ポジティブ」なワールドツアーを開催へ
【関連記事】オランダの人気音楽フェスが、家で寝て過ごすよりもサステナブルな理由【DGTL前編】