コロナ禍でも注目を集めたフードデリバリー。ファーストフード店などにいるとき、大きなバッグを持ったデリバリー配達員が出入りするのを、見かけることもあるだろう。
短時間の単発の仕事を請け負う、ギグワーカーが多い配達員。隙間時間に柔軟に働ける点を好む人がいる一方で、収入の不安定さを実感したり、体力面で苦労したり、孤独感を抱いたりする人もいるだろう。
いかにして新しい働き方の魅力を高めるか、模索する人もいる。
アメリカのレストラン・チェーンであるChick-Fil-A(チックフィレイ)は、2023年2月、ウーバーイーツなどの配達員のための休憩所「The Brake Room」を、ニューヨーク市にオープンした。
Why Chick-fil-A is opening a ‘Brake Room’ for NYC’s delivery drivers. Chick-fil-A’s Brake Room, in NYC’s Upper East Side, is open to any delivery driver and includes complimentary beverages, WiFi, bike storage and more. https://t.co/yo6PxwFapx pic.twitter.com/s13gCO6Fbr
— Restaurant News (@NRNonline) February 15, 2023
デリバリーで日頃お世話になっている配達員に感謝の気持ちを伝え、彼らが必要とするものを提供することが目的だ。自転車置き場、お手洗い、座り心地の良い椅子、飲み物、Wi-Fiなどを用意しているという。
フードデリバリーアプリを見せて、過去1週間以内に配達をしたことを示したら、無料で休憩所に入れる。Chick-fil-Aの配達でなくても構わないそうだ。
「配達員の人たちへの気遣いを示したい」という想いは、コロナ禍が始まる前、デリバリーの売り上げが伸び始めた頃から強まったという。レストランに訪れないお客さんは、商品を届ける配達員を通して、Chick-Fil-Aというブランドと接する。
そんななかで、自店のスタッフではない配達員と、繋がっている感覚を覚えたのかもしれない。
休憩所の外壁には、実際の配達員の巨大写真を設置。休憩所内の壁には、「ありがとう」の文字を大きく展示し、歓迎する気持ちをストレートに伝えている。仕事で疲れたとき、ちょっとした特別扱いを受けると、気力が湧きそうだ。
あなたの会社では、どこまでを「自分たちのコミュニティ」と捉えているだろうか。Chick-Fil-Aの取り組みは、どこまでコミュニティの輪を広げることが理想的なのか、考えるきっかけを与えてくれる。
【参照サイト】The Brake Room For The Food Delivery Community | Chick-fil-A
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