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ギグワーカーとは・意味

ギグワーカーの写真

image via Antonello Marangi/ Shutterstock

ギグワーカーとは

ギグワーカーとは、短時間かつ単発で仕事をする労働者のこと。プロジェクトベースの仕事をする人も含み、多くはインターネットのプラットフォームを通して求人のマッチングが行われる。「gig worker」の由来は、ミュージシャンがライブハウスなどでの演奏に一度限りで参加することを意味する音楽用語「gig」からきている。

ギグワーカーの職業の例としては、料理宅配サービスの配達員、サービス業での接客、ライドシェアの運転手、プロジェクト単位のソフト開発、法務や会計などがあり、多くの人が始めやすい職業から高度な専門知識を必要とするものまで様々だ。

例えば、飲食店やホテルで人手不足の日に2時間だけ接客を担当してくれる人や、1日だけ作業員として働いてくれる人など、ギグワーカーの台頭で企業は即戦力を見つけられ、働き手は隙間時間を使って働くことが可能になった。

日本におけるギグワーカーの現状

日本でギグワーカーが浸透した背景として、超高齢化社会と厳しい労働規則など特有の問題がある。2022年現在では、新型コロナウイルス禍によって長期的なスタッフを雇うことができないサービス関連の企業からの需要も高まっている。また、肉体労働の職種だけでなく、テレワークの定着や雇用不安からホワイトカラー系のギグワーカーも急増している。大手仲介サイト4社の登録者は、2020年上半期に約100万人増えたという。

フリーランスとの違い

自由な働き方が注目されている中で「フリーランス」という言葉を耳にする機会も増えてきた。フリーランスとは、成果報酬型で、案件を丸ごと受注する働き方だ。ギグワーカーとフリーランスの定義には境界線が曖昧な部分もあるが、ここでは3つの違いを紹介する。

  • 業務の継続性
  • 単発の仕事を請け負うのがギグワーカー、継続性の高い仕事を受ける場合がフリーランスに分類される。

  • 仕事の受注方法
  • ギグワーカーは専用のプラットフォームなどを経由する場合がほとんどであるのに対し、フリーランスはインターネットに加えて個人のスキルや技術から直接依頼が来るケースがある。

  • 専門的な知識や技術
  • 単発の仕事であるギグワーカーは、高いスキルを必要としない業務が中心である。これは、企業が異なるギグワーカーに毎回業務の説明を細かくする手間を省くためでもある。一方フリーランスは、企業が遂行できない仕事を依頼されるため、専門性の高い仕事が中心になる傾向がある。

    ギグワーカーのメリット・デメリット

    専門的な知識が不要で、単発で働くことのできるギグワーカー。ギグワーカーとして仕事をしてみたい人は良い面だけでなく、注意すべき点も押さえておくと安心して働けるだろう。

    メリット

  • 柔軟な働き方が可能
  • 育児や介護で不規則な時間にしか働けなくても仕事が見つかりやすい。

  • 多面的なキャリア構築
  • 働く場所や職種が多様であるため、スキルを持った人である場合、複数の企業で働くことで様々な経験を積むことが期待できる。

  • 労働契約が簡単
  • ギグワーカーはプラットフォームに登録すれば、仕事を受注する際に毎回企業と契約書を交わす必要がない。そのため、仕事を開始するための手間が省け、気軽に働くことができる。

  • 金銭トラブルが少ない
  • 多くのプラットフォームでは、直接現金での支払いを禁止していることも多く、報酬の未払いや遅延が起こりにくく透明性が保たれている。

    デメリット

  • 会社員と違い、保険や福利厚生がない
  • フリーランスと同様に雇用保険や健康保険などの社会保障が対象外であるため、税金や年金などの手続きは自分で管理する必要がある。

  • 安定した収入が見込めない恐れがある
  • ギグワーカーのみで生計を立てる場合、単発の仕事がメインとなるため、毎回希望する仕事が見つかるとは限らない。正社員など安定した職があり、副業としてギグワーカーをしている場合は収入面での不安は薄れるはずだ。

  • ギグワーカーに関する制度が未整備
  • 日本においてギグワーカーは新しい働き方。仕事中の事故やケガが起きても、基本的には自己責任で対処しなければならないなど、ギグワーカーを守る仕組みがまだできていない。

    2020年、アメリカのカリフォルニア州では、ライドシェアなどを展開するUberやLyftに対して、ドライバーたちが労働補償に関する抗議をした。2億ドル(約270億円)の裁判の結果、同州の判事がギグワーカー法を違憲だとした。今後は、ドライバーなどのギグワーカーの身分や労働補償に関する法整備が進む可能性がある。

    今後のプラットフォーム「ギグワーク3.0」

    ギグワーカーとしての働き方や企業の採用方法は、時代と共に変化を遂げてきた。ギグワークにおける変革はアメリカで起こり、企業が派遣会社などの第三者のプラットフォームを通して働き手を依頼し、労働者が決められた短時間働く形態は、2022年現在も多くみられる。

    さらなるテクノロジーの発展で、「ギグワーク3.0」が台頭し、成長を日本も牽引している。この仕組みの特徴は、企業がSaaSを通して開発不要のギグワークプラットフォームを内製化できるようになったことだ。そうすることで、派遣会社や単発バイト提供サービスに支払っていた仲介費用を大幅に削減することができる。

    例えば、チェーン店では自社専用のプラットフォームができることで、複数店舗のシフト管理を統一でき、従業員やOB・OGが柔軟に全国の店舗で働くこともできる。自社の人材管理を1つのアプリで行うため、シフト調整が簡単になったり、データ活用をすれば予想されるニーズに合わせた労力を注ぎ込んだりと効率的な管理ができるようになる。

    また、政府は働き手を守りつつ、国家の深刻な問題である労働力不足を解決する手段としてギグワーカーを活用できる。ギグワーク3.0が進むことで、働き手・企業・政府がウィンウィンになると予測される。

    まとめ

    社会情勢やテクノロジーの発展で、多様な働き方が可能になってきた。新しい働き方であるギグワーカー。自由かつ柔軟に働くことができる一方で、保証などの面で課題も見られる。ギグワーカーに関心がある人は、自分のライフスタイルに合った取り入れ方を検討した上で始めてみてはどうだろうか。

    【参照サイト】nikkei.4946.com ギグワーカー
    【参照サイト】ギグワーク大学 働き方の新時代 ギグワーク3.0
    【参照サイト】NEXTLEVEL ギグワーカーとフリーランスの違いってなに?
    【参照サイト】ライトワークス ギグワーカーの意味
    【参照サイト】The New York Times A judge Declared California’s Gig Worker Law Unconstitutional. Now What?




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