赤道に近く、年間を通じて暑い日が続く中南米の国・ブラジル。同国といえば、照り付けるような陽ざしが降り注ぐビーチや、まばゆいほどの太陽を背にダンサーたちが舞うカーニバルの光景を思い浮かべる人もいるかもしれない。
そんな世界でも特に日射量が多いブラジルでは、皮膚がんが一般的な病気として知られる。そのなかでも多くを占めるのが黒色腫(メラノーマ)と呼ばれる種類の皮膚がんだ。黒色腫は、一見ほくろのように見えるのが特徴で、詳しい原因は分かっていないものの、紫外線や外的刺激などにより誘発されると考えられている。
黒色腫は、早期治療ができれば、患者の生存率を99%にまで高めることができるという(※)。つまり、できる限り早い段階で肌の異常に気づくことこそが重要なのだ。
「人々が肌の異常を自分自身で早期発見する手助けができないか?」そんな考えから動きだしたのが、ブラジルにある皮膚科クリニック・Horaiosと、広告会社・ワンダーマントンプソンである。彼らが皮膚がんの啓発のために使ったのは、なんとお菓子の「クッキー」だ。
![Image via Wunderman Thompson](https://ideasforgood.jp/wp-content/uploads/2024/01/diagnosticookies9.jpg)
Image via Wunderman Thompson
健康的なほくろを模したクッキーは綺麗な円型であるのに対し、黒色腫を模したクッキーは、境界部が不規則だったり、左右非対称だったり、色が混ざっていたりと、少々変わった見た目になっている。それぞれを箱の中に並べることで、サイズ・色・形・質感の違いを確認できるようにしたのだ。
![Image via Wunderman Thompson](https://ideasforgood.jp/wp-content/uploads/2024/01/diagnosticookies1.jpg)
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ソーシャルメディア上に投稿されたこのユニークなアイデアは、24時間以内に6,000万回のビューを獲得。皮膚科クリニック・HoraiosのWebサイトの閲覧数も3倍以上に上昇した。また、ブラジルのテレビ司会者や歌手を含む、10数名の有名人やCNN記者もオンラインで支持を表明している。
普段から身近に親しまれる食品を、皮膚がんの正しい情報提供と問題意識の喚起に繋げた「DiagnostiCookies」。今後ブラジルで、黒色腫に関する正しい知識がより一般化し、黒色腫の早期診断と生存率の上昇が実現することが期待される。
※ War on Melanoma(Oregon Health&Science University)
【参照サイト】DiagnostiCookies
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Edited by Yuka Kihara