社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、ホームレス状態の人々のための無料ランドリーデーや、「シャーシャー猫の譲渡会」で18匹の譲渡が決まったことなどを紹介した。
日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。
愛に溢れた世界のグッドニュース5選
01. 注文しすぎたチョコを、オークションに。売上を救助団体へ寄付
毎年3月末から4月頃、ヨーロッパではキリストの復活を祝うイースターの時期に入る。多くの人が卵やウサギの形をしたチョコレートで祝う習慣があり、店頭にもチョコレートが多く並ぶ。そんなお祝いの日に合わせて、心温まるストーリーが生まれた。その舞台はスコットランド・オークニー島。人口は約500人という小さな島だ。
この島で小さな店を経営するDan Dafydd氏は、イースター用の卵型チョコレートを80個注文したつもりが、80ケース、つまり720個も注文していたのだ。500人の島民に対して、明らかに注文しすぎてしまった。そこでDan氏は、チョコレート100個を一人に贈るというオークションを開催し、その売り上げを救助団体へ寄付することにした。すると賛同者が相次ぎ、結果として3,000ポンド(約57万6,000円)もの寄付金を集めることができたのだ。
まさに、ピンチはチャンス。だが、これはDan氏がピンチを「誰かを助けるための」機会に変えたからこそ、多くの人の心を動かしたのだろう。
【参照サイト】Orkney shop owner raises £3,000 for charity after Easter egg error
02. 合言葉を伝えると無料のパンを受け取れる。長期休暇中の家計支援に
もう一つ、イースターに合わせてある企画が実施された。イースターの時期、ヨーロッパでは休暇シーズンに入る。子どもたちにとっては楽しい休みの期間になる一方で、長期休暇に入ると家族の食費がかさみ、経済的に困窮する家庭が多いという。
そんな家庭を支えようと、イギリスの製パン会社・Warburtonsが、同国大手スーパーマーケット・Morrisonsと協力し、無料のクランペット(気泡があいたパン)を配布するキャンペーンを実施した。Morrisonsのカフェで“Ask for Ellen(エレンをお願い)”と伝えるだけで、バターとジャムが付いた2枚のクランペットを無料で、質問されることなく受け取ることができる企画だ。
この合言葉は、Warburtonsの創業者・Ellen Warburtons氏に由来する。Ellenが家族を支えるためにパンを焼き始めたことから、同社は引き続き家族のための取り組みを行なっているのだ。
【参照サイト】Ask for Ellen
03. 100%太陽光で走る車が、生産開始間近に
気候変動対策として、ガソリン車から電気自動車への切り替えは世界各地で推進されている。一方で、いざ利用を検討してみると、充電スポットの数や航続距離の心配が拭いきれない人も多いだろう。では、常に環境負荷の低い方法で充電を続けながら走行できたら、どうだろうか。
そんな技術を持った車をまもなく生産しようとしているのが、アメリカ・カリフォルニア州に拠点を置くスタートアップ企業・Aptera Motorsだ。同社は太陽光だけで走る3輪型の自動車を開発しており、2024年4月、生産予定の車体の試作品が完成したという。近い未来、ガソリンスタンドや充電スポットに駆け込む必要のない生活が始まっているかもしれない。
We had so much fun last week celebrating a company milestone — the arrival of Aptera’s first production body in San Diego. Now Team Aptera is back to work finalizing the cable routing, connectors, and placement of components in preparation for our first PI Builds. pic.twitter.com/vfPN7HN9cW
— Aptera (@aptera_motors) April 11, 2024
【参照サイト】The Car Fueled Entirely by the Sun Takes Huge Step Towards Production
04. たまにはみんなでご飯食べない?日本のウェディング会社が社員・家族・お客さんとともにお昼ごはんを囲む
ウェディング事業を展開する株式会社CRAZYが全社員で手作りの食事を共にする社内制度「CRAZYのお昼ごはん」を導入。ランチの場には、お客さんやコミュニティメンバーなど、社外の人も招待する。
メニュー開発や調理については、旬の食材で養生ごはんを提供する「うぶすな」が担当。炊飯や食事の準備は社員が交代制で行い、配膳は全社員で行っている。近年、日本では一人暮らしの増加や、リモートワークの普及に伴い、「個食化」が進んでいると言われている。コミュニケーションの場が減っていることが原因で、仕事がしにくくなったり、幸福を感じにくくなったりすることもあるだろう。CRAZYの施策はそうした状況に立ち向かうものだ。
同社はCHO(Chief Happiness Officer)の役職も設けており、顧客の幸せを届けるためにはまず社員自身が幸せであることを前提に取り組みを進めている。「CRAZYのお昼ごはん」はちょっとした工夫で、会社の周りに笑顔が増えるような、あたたかな仕組みだ。
【参照サイト】CRAZY、全社員で食事を囲む社内制度「CRAZYのお昼ごはん」を開始します。
05. 英国初、黒人女性のレストランがミシュラン獲得
「ミシュランを獲得した店」と聞くと、どんなシェフや経営者を想像するだろうか。ふと思い浮かんだのが、男性であった人も多いだろう。レストラン業界のジェンダー平等は、未だ改善の余地を残している。
Adejoké Bakare氏は、イギリス・ロンドンで西アフリカ料理のモダンレストラン・Chishuruを経営するシェフだ。Adejoké氏は、黒人女性シェフとして同国で初めてミシュランを獲得した。実は、世界規模で見ても二人目だという。ジェンダーと人種、どちらも未だ社会で壁となることは多い。だが彼女のような先駆者の存在は、何人もの後輩たちを勇気づけるに違いない。
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【参照サイト】‘I cook from the heart’ – UK’s first black female Michelin-starred chef