見た目はハイエンドブランドのようなデザインのお洒落なジャケット。実はこのジャケット、普段使いとしては寒さをしのぐ機能的なジャケットなのだが、組み立て方を変えるとなんと宿泊可能なテントに変身するという斬新なプロダクトだ。キャンパーやロッククライミングをする人にとってはとても魅力的な商品だと思うが、このテントジャケットが作られた目的は、世界中で増え続ける難民の支援と、難民問題に対する啓発だ。
このユニークなジャケットを手がけたのは、ファッションを通じて世界が直面する社会問題の解決に取り組むスターアップ企業のADIFFだ。同社は寄付ベースのビジネスモデルを基盤としており、ジャケットの売上価格の10%は難民支援団体に自動的に寄付されることになっている。また、このジャケット自体が難民の危機に対応できるようデザインされている。
実際に難民となった人が直面するであろう困難の具体的な解決策となる機能を兼ね揃えたADIFFの商品は、ユニセックスでワンサイズ、機能的、耐久性、耐候性があり、様々な環境下において着用できるように設計されている。
今回発表されたテントに変身するコンバーチブルジャケットは、通常のジャケットとしてはもちろん、1-2人用のテントとしても活用することができる。簡単に組み立てることができるうえ、完全防水であるため万が一の悪天候にも対応が可能な商品に仕上がっている。
また、直接身体に触れる部分の生地には水のボトルからリサイクルされたポリエステルが使われており、ポール材質にはアルミニウムを使用している。重さは、3-4ポンドと軽量でオレンジ色またはモスグリーンの色展開となっている。先行予約中のこのテントジャケット価格は350.00米ドルで、現在は最終チェックの段階に入っており、2018年1月から配送予定だ。
創業者は、ニューヨークにある有名なパーソンズ美術大学を2016年に卒業したばかりのアンジェラ・ルナ氏。彼女はForbes 30Under 30とClass of 2017のメンバーでもあり、ソリューションベースのデザイナーとしてすでに多くの人に知られている。
彼女は世界が直面する難民という問題を知ったとき、科学者でも技術者でもなく、ただファッション学校に通っているだけの自分が、「ファッション」という分野を通じて何をできるのかを考えた結果、ADIFFを創業するにいたった。
テントジャケットのプロジェクトはまだほんの始まりにすぎないと語る創業者のアンジェラ氏。このプロダクトを皮切りに、将来的には非営利団体を設立し、他の慈善事業も実施していくことを目標としている。難民の役に立ちたいという想いから生まれた想像力豊かでデザイン性・機能性を兼ね揃えたテントジャケットは、Facebook上でもすでに3200万回の視聴回数を超えている。ジャケット自体の利用が広がることはもちろんだが、このジャケットを通じて一人でも多くの人々が難民問題に関心を持ち、何らかのアクションを起こすことを期待したい。