ケニアの中小企業の心強い味方。IBMが支援する、ブロックチェーン活用の少額融資サービス

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「非公式な経済」というと、どんなことを連想するだろうか。日本では、戦後の闇市などが連想され、少しいかがわしいイメージがあるかもしれない。しかしそれは、生まれたら当然のように戸籍があり、学校に通い、会社に勤め、銀行口座に月々、給与振り込みがある人々が抱く思い込みだ。これらがどれひとつない境遇で生まれたら、人は一体どうすればよいのだろうか。

世界を見渡すと、自分の身分を証明できるものがなく、学校に通うお金もなく、銀行にも相手にしてもらえないという人々がたくさんいる。社会が整備されていようがいまいが、人は生まれたら生きていくしかない。その際に必須なのが、生活の糧となる経済活動だ。

アフリカのケニアでは、200億米ドル規模の非公式経済(*1)のなかで、事業を興そうにも銀行からの信用にこと欠き、なかなか貧困を抜け出せない現状がある。通常、銀行が融資する際の判断基準は、貸付金を回収できて利益が上がるかどうかだ。しかし、財務諸表など何ら公的な書類を持ち合わせていない事業主に関しては、貸し付けのリスクを計測することは困難で、それが貸し渋りが起こる要因となっている。

世界銀行グループの機関で、途上国の民間セクター支援を行う国際金融公社(IFC)によると、アフリカの中小規模の事業は3,310億米ドル相当の貸付ギャップに直面しているという。

こうした社会構造のジレンマを解消するものとして、いま注目されているのがブロックチェーンを基盤としたマイクロクレジットプラットフォームだ。

ナイロビに本拠を置き、BtoBの農作物流通サービスを行うTwiga FoodがIBMの支援を受けて提供する同プラットフォームは、ビットコイン等の仮想通貨が用いるブロックチェーン技術を駆使して、小規模店舗向けに少額の融資を行い、事業者の返済の記録をする。取引の記録が見える化することで、事業者たちは信用を積み上げることができる。

現地事業者らは、ケニアで8週間のパイロットプログラムを行った。ケニアのIBM Research部長であるソロモン・アセファ氏は、「ブロックチェーン上で取引を行うと、その履歴はずっと変わらずに残ります。この情報により、銀行は手の届く事業の範囲を広げ、店主や農家は融資を受けることができるのです。」と語る。

Kenya Bankers AssociationのCEOであるハビル・オラカ氏は、「東アフリカ最大の経済圏のケニアでは、個々の事業者のリスクを格付けできないために、小規模のビジネスへの貸付を好んではいませんでした。そのため小規模店舗は、金融へのアクセスへの問題を抱えています。しかし、良好な実績を積みクレジットスコアを上げていけば、より有利な条件で取引にアクセスできるようになるのです。」とメリットを説明した。

総体的に社会インフラが不足するアフリカ。ブロックチェーンを活用したこのようなプラットフォームの誕生は、貧困地域が抱える事業資金の不足を解消する画期的なソリューションといえる。

*1 公式経済部門と違って、 課税されず、いかなる政府機関の関与も受けず、国民総生産(GNP)統計にも表れない経済部門のこと

【参照サイト】Twiga Food
【関連ページ】ブロックチェーンとは・意味
(※画像提供:Shutterstock.com