社会課題にアクションできる人を増やす。世界同時開催ワークショップ「Global Goals Jam」の想い

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2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)やサステナビリティ(持続可能性)に取り組む自治体や企業の一部で、最近「CO-Creation(共創)」という言葉をよく目にするようになってきた。さまざまな年齢・性別・人種・属性の人が住みやすい社会を実現するために、複数のステークホルダーが共同でまちづくりや製品づくりをしていくことだ。

そういった共創を通してコミュニティビルディングを実践する「Global Goals Jam(以下、GGJ)」が、2019年9月21日、22日に東京で開かれる。GGJは、SDGsの課題を解決するアイデアをチームで生み出すデザインワークショップだ。2016年にオランダのアムステルダムで始まり、2018年には世界の70箇所以上で同時開催され、総勢2,500名以上が参加するほどの大きなものになった。

今回は、GGJ TOKYO現オーガナイザーで FabCafe Tokyoマネージャーのケルシー・ステュワートさんに、GGJの魅力と開催の意気込みについて話を聞いた。

ケルシー・ステュワートさん

ケルシー・ステュワートさん

多様な人々でコミュニティビルディングをするGGJ

Q. ケルシーさんがGGJと出会うきっかけは何だったのでしょうか?

2017年に当時ロフトワークでプロデューサーをしていた、アーバニストの杉田真理子さんに声をかけてもらい、GGJ にボランティアで参加したことがきっかけです。それまで日本では、サステナビリティ(持続可能性)とソーシャルエンパワメント(社会的な能力の開発)が繋がっている活動が少ないように感じていました。だからこそ日本でもそういった場をつくりたいと思っていて。

そこでGGJ に参加して初めて「ハイパーコミュニティビルディング」という考え方に出会い、雷に打たれるほどの衝撃を受けたのです。ワークショップでは、2日間に渡ってチームで深い議論をしながらコミュニティをつくっていく手法が実践されていました。

チーム内でそれぞれの人が関心のあること、情熱を持っていることについて議論をして、エンパシー(共感)を通して知らない人ともすぐに深い関係を築くことができると気づき、感動しました。私もそのときは東京に引っ越してすぐだったので、親しいコミュニティができて嬉しかったことを覚えています。

そして杉田さんから、次は主導してみませんか?と言われて、2018年のGGJの全体ファシリテーターをやることになったんです。

Q. GGJに取り組む意義を教えてください!

意義の一つは、GGJでは「デザイナソン」を体験できること。よく「ハッカソン」は開催されていますが、「デザイナソン」とは大きな違いがあります。

エンジニアやプログラマーなどが、質の高いプロトタイプをつくるのが「ハッカソン」と呼ばれるもの。一方で「デザイナソン」は、職業も立場も違う、さまざまなバックグラウンドの人が参加し、多様な視点や考え方を持って課題に向き合うことができるもの。

SDGsのように大きな課題をカバーしているものを扱う場合や、複数の人がステークホルダーになるものをつくる場合は、そういった多様な視点や考え方を取り入れながら、対話をしてつくっていく必要があります。今後SDGsを実現していく上では、「デザイナソン」のアプローチが必要だと感じたんです。

ワークショップのようす

また、ワークショップを通して課題に対する具体的なアクションにつなげられることも有意義です。たとえば、香港のデモをSNSを通して知ったときに、今自分にできることは「いいね!」をすることや、周りに情報をシェアをすることに留まってしまうけれど、GGJでは「具体的にできる行動は何か?」を考え、実践します。

自らのパッションを表現することが難しい環境にいる人も、GGJ では自分のスキルを活かして行動できる場になったらいいなと思っています。

だから今GGJ TOKYOは、アウトプットの内容以上に、参加者同士のコミュニケーションやサステナビリティへの理解を深めることを通して、コミュニティビルディングを実践することに焦点を当てています。

Q. 昨年度(2018年)のGGJ で得られたこと、気づいたことはありましたか?

2日間でも十分にコミュニティビルディングができることがわかりました。何かを共同でつくることで生まれるコミュニティは、他の方法でできたコミュニティと比べて繋がりが強くなると感じています。GGJ のイベントが終わっても、参加者同士がプライベートで食事したり、プロジェクトを続けていたりして、とても繋がりが強いコミュニティができました。

あとは、イベント中に東京と香港と京都をビデオで繋いだんですが、それぞれの場所で同じことをするだけでなく、それを繋ぐことで世界が一緒に動いている感覚を実感できたと思っています。

参加メンバー

Q. →参加者間でのサステナビリティへの理解について、最初は差があると思いますが、そこをどう埋めるのか、工夫しているところがあれば教えてください。

大きく二つあります。一つは、GGJでつながったメンバーと一緒にカジュアルに議論できる場を設けていること。7月には、食べものを持ち寄ってポットラックイベントを開催しました。それぞれ持ってきた料理を食べながら、食品ロスによって何を失っているかを話しました。

月に1回は、このような対話の場を設けています。食品ロスなどの社会課題に取り組んでいるプロの話を一方的に聞くことだけでなく、カジュアルに他の人の意見を聞くことができる場がもっと必要だと思うから。もう一つは、GGJ の開催1週間前に「ソーシャルグッドサミット」へ参加してもらうこと。これはUNDP(国連開発計画)が開催しているサミットで、さまざまな情報をインプットする場所になっています。

ソーシャルグッドサミット

Q. ファシリテーターのスキルセットのために工夫していることがあれば教えてください。

ファシリテーターとしては、年齢・経験・スキル・パッションも大事ですが、自分が言いたいことを言うよりも、チーム全員の意見を言えるスペースをつくることが何より大事だと思っています。

また、GGJ で取り組むことはいわゆる「仕事」ではないので、このような自由でオープンな場で自分たちのスキルをどう活かせるか、が問われます。さまざまな文化や背景で育った人がいるなかで、メンバー全員が自信を持って次のステップに進めるよう、チームをつくっていくことが大切だと思っています。

Q. 9月開催予定のGGJでは、他のGGJと違う部分はありますか?

今回は、「GGJ AWRD」ページをつくりました。これはGGJ で生み出されたプロトタイプを集約したプラットフォームで、それぞれのプロトタイプの経緯が見られるようなページになっています。

企業や他のセクターの人がそれを見てインスパイアされたり、一緒にプロジェクトが始まったり、そういった反応が生まれたりしたら嬉しいです。世界中のGGJ のプロトタイプも掲載していて、それぞれのGGJ の特徴、たとえばその国でどんなことを考えているのか、どんなパッションがあるのかなど、見える化することで一つのレンズができると思っています。

GGJ AWRD

GGJ AWRD

Q. GGJ を通して実現したい世界やビジョンを教えてください。

氾濫する情報に対してリテラシーを持って行動できる人、自分でもできることがあるというマインドセットを持てる人をもっと増やせたらいいなと思っています。たとえば、SNSで情報をシェアをするだけでなく、ポットラックイベントの実施やソーシャルアクションなど、もう一歩先の行動に移せる人。だから次回のGGJ でも、参加した全員の人に「私にもできるんだ!」というマインドセットを持って帰ってもらえるようにしたいと思っています。

Q. 最後にメッセージをお願いします!

仕事もスキルも関係なく、どんな人にも参加して欲しいと思っています。今年も半分は学生、半分は社会人で募集をします。SDGsのことを深く知りたい人、SDGs のリーダーになりたい人は、ぜひご参加お待ちしています!

SDGsワークショップ「Global Goals Jam2019」9月開催!

2019年の開催は、9月21日(土)、9/22(日)の2日間を予定。社会課題に対して自分ができることをしたい、という人はぜひ参加してみてはいかがだろうか。

Global Goals Jam Tokyo 2019 応募ページ

GGJ Tokyo参加者募集

筆者プロフィール

松尾沙織(まつおさおり)
震災をきっかけに社会の持続可能性に疑問を持ったことから、当時勤めていたアパレル企業から転身、現在はフリーランスのライターとして、さまざまなメディアで「SDGs」や「サステナビリティ」を紹介する記事を執筆。他、登壇、SDGs講座コーディネート、SDGs「ACT SDGs」発起。また、「ダイベストメントコミュニケーター」として気候変動の問題を広める活動をしている。