世界金融のハブ、香港。1,060平方マイルの土地には730万人以上もの人々が暮らし、高水準の生活を享受している。各分野で先進的な取り組みが行われる一方、子育てにおいては日本と同じように問題もある。
かつて「東洋の魔窟」と呼ばれた九龍城砦に象徴されるように、香港は人口過密で、総体的にスペースが不足していることから、子供の課外活動や未就学児の教育の場が不足しているのだという。そして経済活動が旺盛なため共働きの家庭も多く、仕事一辺倒の生活に陥ることもしばしばだ。
そんな香港の問題を解決するべく、西貢(サイコン)地区に設立されたのが、コワーキングスペースに子供の学習空間を併設した「Campfire Campus」である。香港やシンガポール、イギリスなどで共有スペースのグローバルネットワークを運営するCampfireが企画を行った。
本スペースは、親のためのコワーキングスペースと子供のための教育スペースを組み合わせたハブで、香港内では2か所目の設置もすでに計画されている。仕事を充実させながら子供と質の高い時間を過ごしたいと願う、いわゆる「ペアレントプレナー(Parent-preneur:親+事業家の意)」と呼ばれる人々の支援を目的とした施設だ。
Campfire Campusは、子供にとっては言語、コーディング、ダンス、建築、音楽など、さまざまな科目の教育が受けられる学習センターでもある。キャンパスには、さらに飲食ができるダイニングエリアも併設されており、仕事の合間に家族団らんで食事や休憩をとることができるのだ。
子育てをしながら共働きをする人々が、自分にとってベストなワーク・ライフ・バランスを見つける支援を行うと同時に、就学前の子供の学習支援を行いたいというのが、Campfire Campusの設立の背景にあるアイデアだという。
日本の都市部では、長時間かけて通勤する傾向があることから、子供は自宅近くの保育所に預けられ、親は遠くで働く。そのため、育児と仕事は分けて考えられがちだ。しかし香港は国土が限られており、生活のあらゆる部分が近くに集中している。
Campfire Campusは、今日の香港の数ある課題やニーズをとらえて、うまく応える仕組みといえるのではないだろうか。
【参照サイト】Campfire Campus