海はプラスチックの袋小路と言われる。現在、毎年約3億トンのプラスチックが生産されており、ビニール袋や飲料ボトル等、その半分は使い捨てされる。そして行き場を失ったプラスチックごみが最後に行き着く先が海だ。毎年800万トン以上のプラスチックが海洋に投棄されていると見積もられている。
そこで、駐車場事業を展開するイギリスのCitiParkは、10月のあいだはペットボトルを持ち込んだ利用者の駐車場料金を割引する試みを始めた。
500mlボトル1本につき20ペンス(約30円)。持ち込んだボトルの数量に応じて割引分のバウチャーを得ることができ、割引金額によっては、駐車料金が無料になる場合もある。回収されたボトルはシャツ、玩具、椅子などのアイテムに生まれ変わるそうだ。
今回の割引は、CitiParkが10月22日(月)からメリオンセンター支店で行うペットボトルのリサイクルの取り組みの一環である。小売業者や団体を巻き込んで、リサイクルを含む持続可能な活動を1週間にわたって行っていくという。
CitiParkは環境保護に積極的で、すでにさまざまな取り組みを行っている。また、エネルギーを節約し、汚染を減らし、廃棄物を削減するための持続可能な技術にも資金を投下している。
CitiParkの親会社であるTown Centre SecuritiesのCSR担当者シャーロット・デイジー・ジフ氏は、「CitiParkでは、将来の世代のために環境の保全と改善を行う責任があると考えています。このプロモーションは、お客様に安く駐車できる機会を提供するだけでなく、廃棄ペットボトルを取り除き、環境保護に貢献するでしょう。」と述べる。
プラスチックは、不適切に焼却すると、ダイオキシン等の有害物質が発生する。また海に廃棄された場合、海洋生物が誤飲し、消化せずに胃袋に大量に溜まったり、最悪の場合は命を落としたりすることもある。細かく砕けたマイクロプラスチックは、除去が極めて困難で、その毒素は食物連鎖を経てさらに濃縮されることがわかっている。
水産庁によると、日本は1人当たりの食用魚介類供給量が、人口100万人以上の国の中で世界一の魚食大国だという。プラスチックを道端や海に捨てるという行為は、私たちの食卓にしっぺ返しとして帰って来ていることを忘れてはならない。
Citiparkの取り組みは、駐車料金の割引というインセンティブを利用することで、自然にペットボトルのリサイクルを促すという利用者にも環境にもやさしい試みだ。どのような成果が出るか、期待したい。
【参照サイト】CitiPark launches plastic bottle recycling initiative at flagship car.