「ガイドブックに載っている観光地に飽きてしまった」「地元の人行きつけのお店を訪ね、ローカルな旅を楽しみたい」。そんなときは、その土地に住む人におすすめの場所を聞くのが一番だ。ベトナムの首都ハノイでは、外国人旅行客に英語で無料ツアーを提供している学生団体Hanoikidsが人気を呼んでいる。筆者もHanoikidsのツアーに参加し、プラスチックフリーを掲げるハノイのカフェやレストランを訪ねてきた。

ハノイの観光名所ホアンキエム湖

今回ガイドを務めてくれたのは、ハノイ大学経済学部に通うネコ（ニックネーム）。彼女は幼い頃から環境問題に関心があり、プラスチックを飲み込んでいるウミガメのショッキングな写真に衝撃を受け、大学でも環境問題に取り組む活動を自主的におこなっている。そんなネコと一緒に回った、ハノイのカフェやレストランをご紹介しよう。

Hanoikidsガイドのネコ

ゼロウェイストを目指すフレンチスタイルのカフェ「A Little Hoi An Coffee & Tea」

1軒目は大通りに面した小さな路地の奥にある、フレンチスタイルの小さな家を改装したカフェ「A Little Hoi An Coffee & Tea」だ。

大通りから一歩中に入った隠れ場カフェ

中に入ると、ビンテージ色の壁、ジブリの音楽、リラックスできる香りに包まれながら、ベトナム名物のヨーグルトコーヒーやココナッツコーヒーを楽しむことができる。

店内の様子

店内の様子

ベトナム名物のひとつヨーグルトコーヒー

一見どこにでもありそうなおしゃれなカフェなのだが、実は環境への取り組みにも力を入れている。プラスチックではなく竹や葉で作られたストローを使用していたり、自分のコップを持参すると料金が10%割引となったり、リユース用のきれいに洗浄されたガラス瓶を用意していたりする。

リユース用のガラス瓶。自由に持ち帰り可能。

大通りを何気なく歩いていると発見しにくい建物の奥まった場所に、老若男女から愛される素敵な空間が広がっていた。

緑の多いテラス席

A Little Hoi An Coffee & Teaの詳細

聴覚障害者が働くオーガニックベジタリアンレストラン「V’s Home」

2軒目はオーガニックベジタリアンレストラン「V’s Home」だ。こちらも大通りから細い道を一歩中に入ったところにある。プラスチックストローや紙ナプキンを提供せず、植物の繊維から作られたテイクアウト用のボックスや葉っぱのストローを採用している。

店内の様子

店内の様子

店内の様子

さらに、ここの特徴は、聴覚障害のある方がスタッフとして働いていることだ。彼女たちとはカードやメモ帳を使ってコミュニケーションをとる。

カードとメモ帳を使ってコミュニケーションをとる

メモ帳に文字を書いてコミュニケーション

聴覚障害のあるスタッフ。笑顔が素敵だった。

世界的な旅行口コミサイトTripAdvisorでは、「料理がとても美味しい」「スタッフがフレンドリー」「また来たい」といった声が多く見られる。インターネット上では、聴覚障害者を積極的に採用していたり、プラスチックを使用しないことについては大々的に触れらおらず、純粋に料理の美味しさに惹かれてくる人が多いようだ。

プラスチックではなく、竹や葉っぱで作られたアイテムを使用

オーガニック野菜を提供している

V’s Homeの詳細

ハノイのサステナブルスペース「Phủ specialty Tea&Coffee」

「Phủ specialty Tea&Coffee」はハノイにあるサステナブルスペースだ。内装はベトナムの伝統的な建築からインスピレーションを受け、古来の家具で揃えている。一階はコーヒーショップ、二階は民泊Airbnbで宿泊できる施設、三階はコミュニティ開発のための無料ワークショップを開催できる場所として使用されている。どの階でもプラスチックでできたストロー、袋、ボトルを使用しない、サステナブルなスペースとなっている。

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Phủ specialty Tea&Coffeeの詳細

編集後記

どこのお店もノープラスチックやゼロウェイストを売りにしてビジネスをおこなっているわけではなく、あくまで料理やサービス、お店の雰囲気で勝負している。ノープラスチックやゼロウェイストを掲げることが悪いわけではないが、そうしなくてもそれが当たり前になる世界になるといいなと思う。ハノイの路地裏にあるお店に行って、そんな想いが一層強まった。