「国際協力にも役立つスキルを身に付けたい!」「デザインスキルを社会貢献に活かしたい!」そう考えている大学生・高校生に朗報だ。社会問題をアート・デザインで解決するために、カンボジアで結成されたクリエイター集団「Social Compass(ソーシャルコンパス)」が今夏、学生向けにカンボジアでソーシャルデザインキャンプを開催する。
ソーシャルデザインキャンプとは?
ソーシャルデザインとは、様々な社会課題をデザインで解決していくことである。デザインと聞くと、モノやサービスを作ったり、見た目を整えたりすることを思い浮かべるかもしれない。それもデザインの一面だが、デザインにはもっと大きな意義もある。
広義のデザインは、問題の本質を掘り下げ、解決のための設計を行い、設計に沿うよう見た目を整え、問題を解決に導く一連の過程を意味する。社会をもっとよくするためには、このような広義なデザインの観点から、ちょっとした考え方の転換やイノベーティブなアイデアの創出が必要になってくるのだ。
ソーシャルデザインキャンプでは、カンボジアの首都プノンペンで実際に社会問題を調査しながら、社会課題を解決するためのソーシャルデザインと発信方法の基礎を学ぶことができる。社会を変えるイノベーティブなアイデアを、このキャンプで一緒に考えてみてはどうだろうか。
Social Compass(ソーシャルコンパス)について
今回の旅を主催するのは、社会問題をアート・デザインで解決するために、カンボジアで結成されたクリエイター集団「Social Compass(ソーシャルコンパス)」。
「プラネタリウムを作ってみたい」「遺跡をキャラクターの着ぐるみにしたい」「ミャンマーに行ってみたい」「この人と仕事がしたい」ちょっとした思いつきから、世のため、人のためになるデザインを生み出している。社会問題の解決に「オモシロい」を活かしながら、アニメーション、映像制作からワークショップ、イベント企画など、アジアを中心に展開中。
カンボジアってどんなところ?
東南アジアにあるカンボジアでは、日本の約半分の国土(18.1万平方キロメートル)に、約1600万人が暮らしている。カンボジアといえば、「一生に一度は行ってみたい」世界遺産として人気の高いアンコールワットが有名だ。こうした美しい遺跡群とともに、1970年に始まったカンボジア内戦中に大量虐殺が行われたという悲しい過去があることも、忘れてはならない。
経済的な側面からみると、今では約7%の実質GDP成長率を誇るほど経済は成長し、東南アジア諸国の中でも今後発展が期待される国の一つでもある。そんな様々な顔を持つカンボジアの過去と現在、そして未来を若いうちに五感で体験することは、あなたの人生にとってかけがえのないものになるだろう。
ソーシャルデザインキャンプで学べる6つのこと
10日間、カンボジア在住のクリエイターたちからソーシャルデザインを直接学ぶことで、以下の知識やスキルを身に付けることができるだろう。
- SDGS / ソーシャルビジネス
- IT / テクノロジー
- デザイン思考
- 行動力
- タイムマネジメント
- コミュニケーション能力
国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)とは何なのか?社会問題を解決しつつ、ビジネスを継続するにはどうしたらよいのか?様々な社会問題を抱えるカンボジアで、国際機関やNGO、ソーシャルビジネスの現場を実際に見て学ぶ。
クリエイティブツールを使いながら、映像の撮影や編集、アニメーション、VRやプロジェクションマッピングなど、最先端のクリエイティブを体験する。
より良いデザインをユーザー視点で考え、現地の人々と交流しながら創造していく。マインドフルネスやブレインストーミングなどの思考訓練も交えながら、社会問題を解決するための思考プロセスを実践で学ぶ。
言語が通じない異国で、英語を交えながらコミュニケーションを取り、デザインやイベント、ワークショップなどを企画することで、主体的に動きながら実際のアクションへ繋げる力を身につける。
社会で働く際に最も重要なスキルの一つが、自分自身をコントロールするタイムマネジメントである。日本や海外、多様な職場で働く経験者の声を聞きながら、実際に社会に出た際にストレスや周りの環境に潰されない自分を実現していく。
デザインやクリエイティブの可能性は、言語の壁を超えてコミュニケーションができることだ。 研修では、実際に現地の子どもたちにアニメーションやデザインを教え、言語だけではなく、どうすれば異文化の人に意思を伝えることができるのかを体験する。
プログラムの概要
日程 | 2019年8月12日(月)〜22日(木)(10日間) |
スケジュール |
*内容は若干変更する可能性があります。 |
場所 | プノンペン |
宿泊場所 | プノンペン市内ホテル、キリロム |
募集人数 | 2-10名 |
対象 | 学生(高校生〜大学生)(デザインなどの知識や経験は不問) *未成年の場合は保護者の同意が必要です。 *出発前に事前説明会を行います。 *現地では日本語対応スタッフが同行します。 |
参加費 |
200,000円(宿泊代込み) *航空券の手配はご自身でお願いします。 *その他必要経費(食事代、国内移動費、ビザ代、海外保険代等)は別途必要です。 |
講師・サポートスタッフのご紹介
中村 英誉
2004年京都造形芸術大学卒業後に単身渡英。ロンドンC.H.A.S.Eアニメーションスタジオにてディレクター、キャラクターデザイナーとして勤務。
2007年株式会社HIDEHOMARE(現・コンパスアカデミア株式会社)。2010年3月、東京大学内ベンチャー企業の「株式会社フィジオス」のアート・ディレクターとして、米国シリコンバレーのビジネスコンテストiEXPOにて最優秀賞を取得。2012年、カンボジア移住。2014年、Social Compassを設立。2019年6月より昭和女子大学客員研究員。
森田 アキラ
高校より渡米。The School of Slow Media設立メンバー。現在、アジア各地を中心にコミュニティ開発やデザイン思考、マインドフルネスといった多岐にわたるワークショップやコンサルタントを行う。「人の話を聞く」という作業から人間性を重視したメディアの創造を進める活動を実施している。
貝塚 乃梨子
桜美林大学造形デザイン専修卒業。
上智大学大学院グローバルスタディーズ研究科博士前期課程修了。地域研究修士。2013年より平和中島財団の奨学金を得て、カンボジアの王立プノンペン大学にて客員研究員として同国の社会科教育に関するフィールド調査に2年間従事。その後Social Compassを設立。アートを通じた社会貢献活動を行う。2019年6月より昭和女子大学客員研究員。
ジェシー・アン
カンダール州出身。カンボジア人デザイナー、ビデオクリエイター、英語・日本語通訳者。日本語フリースクールTAYAMAスクールにて、日本語を習得。カンボジアを拠点に映像やアニメーション・デザイン製作を行う若手クリエイター。
IDEAS FOR GOOD編集部のおすすめポイント
「カンボジアで国際協力のボランティアをしよう」「イギリスでデザインを学ぼう」というプログラムはよく見かけるが、「カンボジア×社会貢献×デザイン」という組み合わせは、とてもユニークである。そのため、「ただデザインを学ぶだけでは物足りない」「国際機関やNGO/NPOで働く以外で、国際貢献したい」と思っている人に、ぴったりのプログラムだ。また、静的なデザインだけではなく、動的な「アニメーション」、さらには「プラネタリウム」などの珍しいクリエイティブツールを体験できるのも魅力の一つである。
今回の主催者であるソーシャルコンパスは、一人ひとりの「やってみたい」「おもしろそう」という感覚を大切にしている団体だ。正しい知識を教えるだけではなく、みんなのアイデアや発想を活かしながら、共に何かを作り出すことを大事にしている。そんな大人たちと10日間一緒に過ごすことで、カンボジアについての知識やデザインスキルだけではなく、「いかに働くか・生きるか」ということを考えられる、貴重な時間となるだろう。
デザインの知識や経験は特に不問で、誰でも参加できる内容であるため、「ソーシャルデザイン」「アート」「カンボジア」「国際貢献」「プラネタリウム」「アニメーション」といったキーワードにピンときた人は、この夏勇気を出して最初の一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。
プログラムの詳細・お申し込みはこちらから
今回の企画に興味をお持ちの方は、下記より詳細をご確認ください。
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