よりよい社会をつくっていくために何かしたい、と思っても仕事や学校で忙しく、ボランティアする時間もなかなかとれない。でももし、ビールを飲んだり、おつまみを食べたりするだけで社会貢献ができるとしたら。そんなアイデアを実現したチャリティーパブがこの夏、3ヶ月間限定でロンドンにオープンした。
パブの名前は「グリーン・ビック」。「世界一エシカルなパブ」をめざすとあって、あらゆるところで人や社会、環境に配慮する「エシカル」にこだわっている。
まずは雇用者。パブの4人に1人は、元ホームレスや元犯罪者、障がい者など仕事を見つけることが難しい人たちだ。そして店内の物品にもこだわる。家具は全て中古家具で、石鹸は視覚障がい者が製造したものを使用する。トイレットペーパーは100%再生紙で、トイレットペーパーから得た収益の50%は世界にトイレを普及する活動に寄付される。
飲み物は40種類。どれを選んでも社会活動の解決につながるようになっている。たとえば、売れ残ったパンからつくられたビールやロンドンのぶどう園限定の地産地消ワイン、精神疾患に苦しむ人たちがつくったビール、収益の一部がアフリカの水をきれいにするための活動に使われるビールなどさまざま。いずれも1パイント5ポンド(約700円)程度だ。
グリーン・ビックに食事を提供する「The Green Grill」の美味しそうなハンバーガーやホットドッグ、フライは全てヴィーガンだ。食品廃棄物が発生しても捨てずにコンポスト(堆肥化)をしている。
パブを立ち上げたランディ・ランパーサッドさんはこのプロジェクトによって「日頃のライフスタイルを変えずにチャリティーをすることができるようになれば」と語る。
すてきなアイデアとはいえ、収益が気になるところだ。しかし、ランパーサッドさんは「お金のことは気にしていない。プラネットファースト(地球環境優先)、収益は後」と言い切る。実際、収益の60~80%は寄付に回しており、今後、さらなる協力者を得て常設店舗にしたいと考えているという。
今夜はちょっと飲みに行こうかな、と思ったときに、こんなパブがあれば、気軽に社会に貢献できる機会になる。また、パブで商品やサービスが活用されるNPOにとっては、パブから寄付を得るだけではなく、パブに来店したさまざまな人に活動を知ってもらう機会にもなるだろう。このパブが起点となってひろがるエシカルなつながりも楽しみだ。
【参照サイト】Charity begins at the pub: London bar seeks ‘most ethical’ title
【参照サイト】Is this the world’s most ethical bar? This London pub is aiming to be the most eco-friendly, socially-conscious boozer on the planet