60年代クラシックカーを再生した、CO2排出ゼロの電気自動車。フォルクスワーゲンが販売へ

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クラシックカーは、その可愛らしい曲線を帯びたレトロなデザインで、車好きの人に対してもあまり興味のない人に対しても、その心を掴んで離さない。しかし、そのガソリン使用量や温室効果ガス排出量は、お世辞にも効率が良く、地球環境にも財布の環境にも優しいとは言い難い。こうしたジレンマへの、フォルクスワーゲンの解決策はとてもシンプル。それは、デザインはそのままに、中の機構を最先端の電気自動車に作り替えることだ。

今回発表されたフォルクスワーゲンの新シリーズ「e-BULLI」は、同社で1966年に生産され、ワーゲンバスとも呼ばれる「T1サンババス」のクラシックで上品な意匠をほぼそのままに、環境保護を念頭においた新たな電気自動車シリーズだ。走行中の温室効果ガス排出量は0であることが最大の目玉になっている。

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Image via Volkswagen

内部エンジン機構も従来の4シリンダーエンジンから新しい電動エンジンへ換装されている。電動エンジンは、旧来のエンジンからおよそ20馬力ほどアップした81馬力、全体の性能も旧来のエンジンに比べておよそ2倍の性能を誇る。また、変速機も効率的なオートマチックトランスミッション(AT)式に変更され、旧来のT1 サンババスが105km/hしか出せなかったのに対して、最大130km/hと性能が向上した。搭載されたバッテリーは45kwhで、フル充電で200km走行できる。充電方法も直流電流と交流電流の両方のやり方に対応し、幅広いシーンが想定されている。直流電流による急速充電では、40分で約80%充電可能だ。

ハードの面での大幅な改善が目をひくが、内装・外装デザインへのこだわりも見逃せない。旧来のサンババスのデザインを踏襲しながらも、座席シートや外装の色使いはスタイリッシュでモダンな仕上がりだ。

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Image via Volkswagen

また、車に使われるライトやスピードメーターもレトロなデザインだが、その全てにLEDライトが使用され、ガソリンメーターの代わりにバッテリー残量表示がある。さらに、手持ちのPCやスマートフォンを、車に搭載されたスピーカーへBluetooth接続することも可能だ。ドライバーはデバイスからフォルクスワーゲンのウェブサービスにアクセスし、車全体のエネルギー消費量も確認できる。バッテリー充電用コンセントはナンバープレートの裏に隠されており、デザイナーの遊び心が光っている。

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Image via Volkswagen

販売時期は確定していないが、フォルクスワーゲンはこの車の価格を64900ユーロ(日本円でおよそ772万円)からと発表している。

キッチンカーとしてもよく見かけるフォルクスワーゲンのサンババス。今後、このような形で昔からの愛らしいデザインが復刻され、現代の環境にフィットした形で再販売されることが増加するだろう。電気自動車はバッテリー充電に時間がかかる欠点があったが、急速充電技術の進歩やイギリスの充電ステーションネットワーク建造計画を鑑みるに、この欠点も払拭される未来は近い。温室効果ガスの排出によって車が目の敵にされる現状も、今後どんどん変化していきそうだ。

【参照サイト】ELECTRIC POWER: THE NEW E-BULLI IS A CROSSOVER OF HIGH-END CLASSIC AND HIGH-TECH ELECTRIC VEHICLE
【参照サイト】クラシックな外観に最新電動モーター! VWがコンセプトEVカー「e-BULLI」発表(TECHABLE)
【関連記事】パネル両面で発電。電気自動車普及に向けてイギリスで建設が進むソーラーファームと充電ステーション

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